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インターハイ2022

頑張れペンホルダー。日ペンに両面粘着テンション、東海林聖央(三浦学苑)の用具&グリップ

今や、両面裏ソフトのシェークドライブ型が圧倒的多数を占めるインターハイの会場。しかし、一時期に比べるとペンホルダーの選手も盛り返してきた感がある。どの選手も裏面からドライブやミート打ち、チキータや切れたツッツキなど、多彩な技術を繰り出す。基本的にはペンホルダーの強みであるフォアハンド主体の選手が多いのだが、ペンでも「両面攻撃」に近いレベルへ進化しつつある。

その中でも、今日の男子シングルス1・2回戦では「コルクグリップの日本式ペン」の選手をピックアップしてみた。あのラケットの形、あのグリップ。昭和生まれにはキュンと来るんです。

まずひとり目は、神奈川・三浦学苑の東海林聖央(しょうじ・しおん)。2017年の熊本での全日本カデット(13歳以下)で初めてそのプレーを見たが、左腕から繰り出すフォアドライブで見事に4回戦進出。当時から球さばきの巧さは光っていた。今大会でも初戦となる男子シングルス2回戦でストレート勝ちを収め、「最初は少し緊張しましたが、2ゲームを先取できたことで緊張がほぐれて、3ゲーム目はしっかりプレーできました」と語った。

裏面打法も自在に操る東海林聖央(三浦学苑)

使用ラケットはダーカーの特注モデル(角丸型)で、木材3枚+特殊素材の厚めのブレード。そして両面に粘着テンションの『ディグニクス09C』(バタフライ)・特厚というパワーモデルだ。重量は180〜190グラムに達するというが、この少々アバウトな重量感覚からもわかるように、本人曰く「もともと用具にそこまでこだわりがない」タイプ。だからこそ、パワーモデルも迷いなく振れるのだ。

ダーカーの特注合板も、自分から選び抜いたものではなく、「中3の全日本ジュニアの2日前くらいに、ラバーを貼り替えようとしたら単板のラケットが割れているのに気づいた。それから割れないように特殊素材入りのラケットを使うようになった」という。

「ラケットは他の人が持つとみんな『重い』って言いますね。ぼくはもともと手首を少し下げて打つ感じなので、逆に重さを利用して威力が出せる。小学生時代は中国式ペンを使っていましたが、中学に上がる頃に角丸の日本式ペンに変えました。コーチに『このラケットどう?』と渡されて、『いいですね』と(笑)」(東海林)。後発的に裏面にラバーを貼る選手の場合、「両面に『09C』なんて考えられない!」と思うかもしれないが、その重さを受け入れて武器にするという、発想の転換もアリなのかもしれない

失礼ながら、本人に持っていただいたラケット。コルクグリップにシビれます

裏面のコルクは半円ではなく、ラバーが貼れる仕様

ちなみにラバーは中学時代までは、両面とも『ファスタークG-1』(ニッタク)の厚。その打球感が好きだったというが、両親の薦めで『テナジー05』(バタフライ)を両面に貼るようになり、さらに高校1年の冬に周囲の薦めでフォア面を『09C』にチェンジ。そのフィーリングが気に入って、両面とも『09C』に変えた。

なお、『09C』は新品ではやや飛びすぎるので、3カ月くらい使い込んで少し弾みを落としたものが好みだという。用具にこだわりはないというが、この「使い込み」のこだわりは渋い。

ルックスも少々渋めで男前の好青年。別冊卓球グッズの名物企画『こだわりすぎた男たち』にもいつか登場してくれるかも?

フォア面のグリップもパチリ。周囲のアドバイスを受け、次第に浅くなっていった

握りが浅いので、裏面の指を伸ばしても打球の邪魔にならない

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