卓球王国 2022年8月22日 発売 vol.305
バックナンバー 定期購読のお申し込み
インターハイ2022

名電に3冠王の予兆あり? 大会前に練習に参加したふたりの3冠王

鈴木颯と吉山僚一による男子シングルス決勝を、観客席でじっと見つめていた愛工大名電の今枝一郎監督。表彰後の総括コメントで、「とても苦しいインターハイでしたけど、結果的にダブルス・学校対抗・シングルスと、愛工大名電の強さを証明できたかなと思います」と語った。

昨年の谷垣佑真に続き、名電からの3冠王誕生となった鈴木颯。実は大会に来る前から、名電の練習場には「3冠王」という言葉が飛び交っていたのだという。それはなぜか?

「7月中旬に、高木和卓くんと坪井勇磨くんが名電に練習に来てくれた。ふたりともインターハイの3冠王ですから。そういう方々に触れることもできたし、鈴木や吉山は大会前から相当3冠王を意識していたんじゃないかと思います。実際の大会でも、鈴木はダブルスで優勝した時点で、相当その気になっていたと思いますね」(今枝監督)

優勝後にチームメイトに祝福される鈴木

3冠王の鈴木は、高校1年の全日本ジュニア、高校2年のインターハイと全日本ジュニア、いずれも頂点に肉薄しながら手が届かなった。
「鈴木は全国大会では、全部チームメイトに負けているんです。対外的にはほとんど負けていないですから。その中で、最後に一番のライバルである吉山を部内対決で破って優勝するというのは、すごい精神力。相当な準備をしてきたんだなと思いました。吉山より試合数は多かったけれど、『まだまだいくぞ』という雰囲気がありましたから」(今枝監督)

最後までフットワークを生かして両ハンドで攻め続けた鈴木

吉山は惜しくも全日本ジュニアに続く優勝を逃したが、準々決勝・準決勝と相手のマッチポイントを何度も跳ね返し、決勝でも最終ゲーム8ー10から一度は10−10に追いついてみせた。「吉山は精神的な成長を随所に感じます。以前は行動面でも、積極的な性格の鈴木についていくという感じだったけれど、今はむしろ逆。本人から「次いきます」「次トライしたい」と言ってくれる」(今枝監督)

「吉山の相手は、3回戦の関西高校の西田くんから、本当に『捨て身』で打ってきました。『入らなくてもいい』という感じで思い切り打ってくるから、そういうボールは取れないんですよ。今大会は本人も納得できる勝ち上がりではなかったと思うけど、それでも最後まで勝ち上がるというのは力があるんだなと。学校対抗に全身全霊を懸けてくれていたので、本人も憔悴しきっていて、じっとしていられないくらい。それでも決勝の最後はまた挽回して、『また逆転するか』と見る者にも思わせた。素晴らしい決勝でした」(今枝)

決勝はまさに紙一重の勝負。敗れた吉山はベンチでしばらく動くことができなかった

来年は決勝を戦った吉山と鈴木が卒業し、2年生の萩原と中村、1年生の坂井、中学3年から上ってくる吉山の弟・和希らがチームの主力となる。いずれもサウスポーの選手で、ライバルの野田学園も今大会3位の三木と芝が2年生でそのまま残るが、やはりふたりとも左腕。団体のチーム編成を含め、様々な課題と向き合うことになるが、今枝監督が「追う立場になりますけど頑張ります」と語る「常勝・名電」に油断はない。これからまた1年、7連覇に向けた挑戦の日々が始まる。

関連する記事