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全日本卓球2024

恐るべきゲームメイク。 最大の強敵・張本美和に快勝した早田ひなが2連覇達成!

●女子シングルス決勝
早田ひな(日本生命) 9、9、6、7 張本美和(木下アカデミー)

女子シングルス決勝、早田ひなが女子最年少優勝を狙った張本美和をストレートで破り、2連覇を達成!

昨年11月の全農CUP大阪大会(第6回パリ五輪選考会)では、決勝で張本が4ー2で早田を下し、早田からの初勝利をあげていたこのふたりの対戦。2本のサービスの中で、出す位置をバックからフォア、ミドルと目まぐるしく変えながら、多彩なサービスを多彩なコースに出していく張本。一方、早田はサービスのトスの高さや間合いを少しずつ変えながら、相手のミドルへ変化のわかりにくいサービスを集め、回転量と安定性を兼ね備えたバックハンドを軸に試合を組み立てていく。

サービスを出す位置を目まぐるしく変え、早田を揺さぶった張本

試合の大きなポイントとなったのは1ゲーム目だ。フォアに動かすと粘り強い早田のバックへ、張本が体を捩(よじ)りながらもフォアドライブを打ち込み、9ー5。1ゲーム目を奪うかと思われた矢先、早田がチキータと連続バックハンドで9ー9に追いつき、ここからトスを高く投げ上げる「ハイトス」サービスを2本。1本目は張本がレシーブに迷ってネットミス、2本目はオーバーミス。このサービス2本で、試合の流れは大きく早田に傾いた。

2ゲーム目以降も、張本はサービスを出す位置を変えながら、両ハンドのストレートの攻めで随所に好プレーを見せるが、早田のバックサイドを攻略できない。張本が「攻め込んだ!」と思うボールを逆に回転をかけて打ち返され、次球の対応が遅れる。かつてはフットワークを駆使し、豪快なフォアドライブを連発するスタイルだった早田の見事なモデルチェンジだ。

早田のバックハンドの進化に驚かされた。その堅陣は最後まで崩れず

2ゲーム目は10ー9から早田のフォアハンドがエッジで入り、11ー9で早田。3ゲーム目に入ると、準決勝で早田と対戦した赤江がそうだったように、相手をジワジワと飲み込むような早田の攻守に張本は次第に打つ手がなくなっていく。3ゲーム目は11ー6で早田、4ゲーム目も中盤で7ー3と突き放した早田が張本の追撃を抑え、10ー7のチャンピオンシップポイントで強烈な3球目バックドライブを決めた!

試合の終盤、試合を全力で楽しむように1本ごとに笑顔を浮かべていた早田。皇后杯を手にしたその表情に、もはや初々しい感動はない。わずか1ゲームしか落とさずに2連覇、堂々たる女王の貫禄だ。

試合を全力で楽しむ姿勢を感じた早田。全日本決勝の舞台でもこの表情

見事な大会2連覇、今年も皇后杯を手にした

敗れた張本は全農CUP決勝のリベンジを喫したが、全日本決勝の舞台はやはり別物の緊張感があるだろう。準決勝の横井戦と比べるとやや気負いは感じられた。それでも15歳での決勝進出は見事。この敗戦がさらなる成長の糧となることは間違いない。

張本美和、来年も再び頂点へのチャレンジだ

 

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