会場でドイツのオフチャロフに会った。
SNS上ですでに騒がれているのがオフチャロフの盗難被害事件だ。
会場に到着して、すれ違いざま、こちらを見つけると挨拶に来てくれた。「大変だったね。調子はどう?」と聞くと、「調子とかじゃなくて、カバンを盗まれたんだよ」と首を振りながら、立ち去っていった。
13日に韓国の釜山に出発するため、デュッセルドルフからフランクフルトへ向かう列車の中の出来事。座席の上の網棚に手荷物を置いておいた。ほんの少しばかり目を離した瞬間にその荷物が消えてしまった。つまり盗難。完全にプロの仕業だった。
その中にはパスポート、財布、ラケット4本、ラバー40枚ほどが入っていた。まさに釜山で戦うための「一式」が入っていた。
通常、選手が国際大会に行く時には、スーツケースにはウエアや下着などを入れ、機内に持ち込む手荷物にはラケット、ラバー、シューズなどを入れる。国際線の飛行機ではロストバッゲージ(荷物が違う行き先に向かうこと)の可能性もあるので、機内持ち込みの手荷物には最低限、もしくは必要不可欠の卓球用具を入れていく。
その手荷物がまさかの盗難を受けた。パスポートがないと国外にはいけないのだが、トップアスリートは頻繁に海外に行くために、パスポートに代わる身分証明書を自宅に置いていた。オフチャロフは自宅に戻り、さらに1本だけあったスペアラケットを持ち、ラバーはすぐにTBE(バタフライ・ヨーロッパ)の梅村礼さんに連絡が入り、また40枚ほど調達して、翌日に釜山に出発した。
また、今大会は日本の戸上、アルナ(ナイジェリア)、ボル(ドイツ)など多くの選手が体調を崩している。冬の開催の難しさだろう。
選手だけではない。スウェーデン男子監督のヨルゲン・パーソン(元世界チャンピオン)がベンチではなく、なぜか観客席にいた。香港戦で勝利し、ベンチには来るものの選手とはグータッチのみ。「選手との亀裂? 監督外(はず)しか?」(ヨーロッパでは珍しくない)と推測したのだが、聞けば、「風邪を引いたので、選手にうつさないため」だったらしい。
世界大会は何が起こるかわからない。卓球以外での対応力も試されているのかもしれない。
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