全日本卓球2024男子ダブルスは、小林広夢/伊藤礼博(日本大)が初優勝。2連覇を狙った張本智和/森薗政崇(智和企画/BOBSON)に対し、下馬評を覆す圧巻の強さを見せつけた。1ポイントするたびにグータッチをして強気で戦い続けた日本大ペアは、優勝を決めると笑顔で抱き合い、喜びを分かち合った。日本大ペアの男子ダブルス優勝は、昭和55年度(1980年12月)大会の海鉾/塩田ペア以来43年ぶりとなる。
●男子ダブルス決勝
小林広夢/伊藤礼博(日本大) 8、-7、9、7 張本智和/森薗政崇(智和企画/BOBSON)
1ゲーム目は小林のチキータや両ハンドドライブが冴えて日大ペアが10-4とリード。そこから4本連取を許すも、伊藤の回り込みドライブでゲームを先制。2ゲーム目も7-7と競ったが、張本/森薗が4本連取で取る。張本のバック、森薗のフォアと、打球点の早い攻撃で先手を取り、ゲームカウントは1-1に。
そして3ゲーム目、日大ペアはストップとチキータをうまく使い分け、攻められても下がらずに攻撃的なブロックやカウンターからの強打を決める展開が冴える。10-4から5本連取されたが、最後は小林の3球目バックストレート強打で決める。
続く4ゲーム目も競って7-7に。その場面で流れを変えるべく張本が連続でYGサービスを出すも、そこで日大ペアが2得点。そしてマッチポイントでは森薗のバッククロスのドライブに対し、小林が詰まりながらもフォアでねじ込み、張本は返せず。歓喜の抱擁となった。
日本大ペアはストップメインの展開に持ち込み、張本/森薗のチキータや早い攻撃という長所を封じつつ、打ち合いになると絶好調・小林の両ハンド攻撃が冴えわたった。また伊藤もミスのないショートスイングのバックと回転量の多いフォアドライブが光り、プレーがかみ合った完成度の高いペアリングを見せた。何より、初の決勝進出で、実績で上回る相手に思い切ったプレーを見せたことが素晴らしかった。
●小林/伊藤 優勝記者会見コメント
伊藤「優勝を目指してやってきて、ただ相手は強い人ばかりなので一戦一戦向かっていくという気持ちで、まさか本当に優勝できると思わなかったのでビックリしていて、でもうれしいです」
小林「目標の優勝ができてうれしいですけど、まさか本当にできると思っていなかった。小学時代から知り合いでここまで一緒にやってきた伊藤と優勝できたのはすごいうれしいです」
伊藤「準決勝は、去年負けている相手(及川瑞基/松島輝空)なので、対策を練って戦術を話し合い、それが完璧にできたので、ギリギリで勝てた。決勝戦は強い選手なので向かっていって、戦術より気持ちの部分で頑張れたのが大きかったです。決勝は、直前に話し合って、大まかに決めて、あとは気持ちで押していこうというだけでした」
小林「準決勝は去年負けていたので、サービス、レシーブで互角にもっていき、ラリーになればぼくたちにチャンスがあると思った。サービス、レシーブを去年から変化させたのが勝因だと思います。決勝の相手は実力者だけど、自分たちのペアは分がいいと思ったので、コースを待つことと、1本でも多く粘ることを意識しました」
伊藤「準決勝、決勝は初めてで緊張したけど、広夢さんに押してもらって、緊張はだんだんとやわらいで自分らしいプレーをすることができたと思います」
小林「ぼくは逆に会場の緊張感が絶対にプラスになると思っていたので、会場を味方にして攻めていくんだというだけでした」
伊藤「広夢さんの強みはバックハンドドライブと、試合中の読みが凄くて、自分が打ったら返ってくるコースにいて決めてくれます」
小林「伊藤のストロングポイントは、フォアハンドがうまいのと、苦しい場面でも1本入れる力がすごいと思います」
伊藤「初めての全国優勝なのでうれしいですが、これだけ頑張れば優勝できるということがわかったので、さらにこれ以上頑張って、さらに上を目指していきたいと思います」
小林「出る大会には絶対に勝ちたいので、今回ダメだったところをしっかり反省して、次の試合でチャンレジし、自分の成長に生かせるように頑張っていきたいです」
小林「決勝で分がいいと思った点は、張本選手はチキータが武器ですけど、左右ペアということでチキータをすると重なるので、あまりチキータをしないでストップからの展開が多くなると思ったので、自分たちはストップからの展開は自信をもってやれる。また森薗選手のチキータもうまいですけど、それを1本取れれば、ラリーになったらチャンスになるという意味で分がいいと思いました」
伊藤「(準決勝は)去年、松島選手のレシーブのチキータに翻弄されて、少しでも威力を弱めるために切れたサービスを出して、そこから自分たちの展開に繋げるというのが戦術でした」
小林「(今年度の日本大の成績は良いが)大学にはお世話になっていて、自由にやらせてもらっているので、日大で勝ちたいという気持ちは誰よりも強いと思う。団体戦でも個人戦でも日大に少しでも恩返ししたいというのを強く思っています。特にぼくは最後の年なので、強く思ってやっています」
伊藤「自分も日大にはお世話になっていて、日本大学に悪いイメージが若干あると思うけど、そのイメージを払拭するために、去年から春秋優勝して、今回も優勝を目指して、日本大学を背負ってやってきました」
伊藤「自分は名電や野田学園のような強豪校ではなかったけど、強豪と違うやり方で王者を苦しめる方法は沢山あると思う。たとえば汚いボール出すとか、人とは違う方法で勝てるということを、自分が体現できたらいいなと思っています」
小林「愛工大名電時代はモチベーションが落ちてしまったけど、根本は卓球が好きなんだという気持ちを持っていて、自分の好きな卓球を続けたいという思いで頑張れている。好きという気持ちや強くなりたいという気持ちを毎日もってやることで、ここまでいけるんじゃないかなと。情熱があればどこまででも行けると思うので、皆さんも何か好きなことを熱をもってやってもらえたらと思います」
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