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全日本卓球2024

8度のチャンピオンシップポイントをしのいだ張本智和が6年ぶり2度目の優勝を果たす!

昨年と同カードとなった男子シングルス決勝戦。昨年は戸上が張本を4-2で下しているが、直近10試合の対戦成績は5勝5敗。今回の決勝戦も、手に汗握る大激戦となった。

●男子シングルス決勝
張本智和(智和企画)-8、10、-9、-8、9、12、14 戸上隼輔(明治大)

1ゲーム目のラブオール、連続フォアドライブを皮切りに戸上が怒涛の6連続得点。戸上が10ー5とリードしたが、そこから張本がじわじわと追いつき10-8。しかし、最後はネットインで戸上が1ゲームを先制する。

序盤からカミソリドライブを連発した戸上

2ゲーム目も戸上が高速チキータと中陣からの両ハンドで攻め立てるが、張本が前陣での守備と、ミドルへの打球で戸上の両ハンドをうまく封じる。9-10とリードした場面から、張本のフォアサイドを駆け抜ける戸上のバックハンドストレートが決まりジュースに追いつかれるも、なんとか粘り張本が2ゲーム目を奪取。

戸上の威力のあるボールに対しても下がらずに前でプレーした張本

3、4ゲーム目も戸上の勢いは止まらない。フォア前のサービスに対して回り込み高速チキータ、そしてバック対バックに持ち込むのではなく、バックハンドで張本のフォアを狙い、フォア対フォアの打ち合いで得点を奪う。張本は長短の分かりにくいサービスで戸上のレシーブミスを誘いながら競り合うも、戸上が2ゲームを連取。戸上が3連覇へ王手をかける。

昨年と同様、バックハンドで張本のフォアを狙い、フォアでの打ち合いに持ち込んだ

しかし、ここでおわらないのが日本のエース・張本。5ゲーム目は切れ味の鋭いストップとチキータなど多彩な台上技術を見せて10-5とリード。ここから戸上がじわじわと迫ったが、張本がタイムアウトで悪い流れを断ち切ると11-9で5ゲーム目を奪う。

タイムアウトが功を奏し、5ゲーム目を奪う

6ゲーム目から戦いはさらに激しさを増す。張本が前陣でコースを散らしながら相手を揺さぶるも、戸上は瞬間移動かと思わせるような驚異的なフットワークで両ハンドを振り回す。10-9で戸上がチャンピオンシップポイントを握り、ここで試合終了かと思われたが、戸上が決めに行った回り込みフォアドライブがミスとなりジュースに。

戸上の渾身の回り込みフォアドライブがネットにかかり、ジュースへ

その後、戸上が2度チャンピオンシップポイントを握るも、張本は粘り強く食らいつく。そして、12-13で逆に張本がゲームポイントを握ると、ここまで戸上の得点源となっていたフォアの打ち合いで打ち勝ち、最終ゲームへと望みを繋いだ。

 

泣いても笑っても勝負が決まる最終ゲーム。チキータ対策として張本が出したフォアへのロングサービスを、戸上が一撃のフォアドライブ。一方で張本は、戸上が打った渾身の回り込みドライブに対してブロックでノータッチを奪うなど、互いの持ち味を存分に発揮。10-8で戸上が4度目のチャンピオンシップポイントを奪うも、ここからが張本がブロックと戸上のミスでジュースに追いつく。

そこから3度のチャンピオンシップポイントを防ぐと、今度は張本が15-14でチャンピオンシップポイント。最後は戸上のフォアフリックに対して渾身のフォアドライブを打ち込み、優勝を決めた。

優勝を決めた瞬間、張本はその場に倒れ込み、戸上は膝に手をついた

2018年1月の全日本選手権で史上最年少優勝を果たして日本のエースと期待されながらも、以降はなかなか全日本の頂点に立てずにいた張本。初めて全日本を優勝して以降、悔しい思いもたくさんしたはずだ。しかし、その中でも諦めずに真摯に卓球に向き合ったことが今回の結果につながったのは間違いない。最大のライバルである戸上を相手に、8度チャンピオンシップポイントを握られながらも諦めず、6年ぶりに果たした2度目の優勝。この優勝をさらなる力に変え、パリ五輪へ突き進む。

全日本をともに戦った董コーチと歓喜抱擁

 

●張本智和・優勝インタビュー

「本当に、言葉が出ないですね。いつも自分はインタビュー完璧なんですけど、会場の全ての人、相手を含めて全員に感謝したいです。

初優勝なんじゃないかっていうくらい、全日本の優勝の仕方を忘れて、今日も戸上選手が完璧で、何をやってもダメで、先週は(WTTコンテンダードーハ)では勝ったんですけどそれも僅差で、本当に強いです。決勝の握手の時に言ったんですけど、1位も2位も僕らの中では変わらない。時の運で1点、2点、ラッキーもあったり、その差でいつも結果は出ちゃうんですけど、僕と彼が本当に同等でライバル。明日やったら彼が勝つかもしれないし、明後日やったら僕が勝つかもしれない。それくらい良きライバルです。オリンピックまでの間戦うこともあるかもしれないけど、正真正銘仲間として突き進んでいきたいです」

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