●女子決勝
〈中国 3−2 日本〉
◯孫穎莎 5、8、4 張本美和
陳夢 6、−8、−9、−12 早田ひな◯
王芸迪 −8、−11、−10 平野美宇◯
◯孫穎莎 2、7、6 早田ひな
◯陳夢 −4、7、8、7 張本美和
日本女子、中国をあと一歩、あと一歩まで追い詰めながら2−3で惜敗。
53年ぶりの歓喜の優勝はならず……!!
1番・張本美和と孫穎莎の対戦で幕を開けた「日中決戦」。場内に「ニッポン!ニッポン!」のコールも響く中、世界女王に挑んだ張本だが、サービス・レシーブで先手を奪われ、1ゲーム目を5−11で落とす。2ゲーム目は8−8まで競り合いながら、孫穎莎のボールの後ろをとらえ、フェイクモーションを交えるフォアサービスにレシーブミスが2本続き、8−11。3ゲーム目も2−6、4−10でマッチポイントを取られ、最後は孫穎莎がフォアサイドを切るフォアクロスのパワードライブを一閃。中国が先制点を挙げる。
しかし、日本は2番早田がすぐさま1点を取り返す。1ゲーム目は予想以上にフォアで攻めてきた陳夢に取られたが、2ゲーム目以降は陳夢に先に攻められたボールも両ハンドで確実に返球し、陳夢のミドルに効果的にボールを集めてから両サイドを攻め、攻守一体のプレーで得点を重ねる。
3ゲーム目、10−5のゲームポイントから10-9まで挽回されてタイムアウトを取ったが、ここでミドルへのロングサービスから、さらにミドルへバックハンドを決めて11−9。4ゲーム目は逆に10-7から4回のマッチポイントを陳夢にしのがれるも、13-12の5回目のマッチポイントでレシーブがネットイン。静かな幕切れで日本が1-1のタイに追いつく
この流れに3番・平野も乗った。中国の3番は王芸迪。フォアは馬力があるがバックがやや弱く、日本女子にとっては中国のトップ選手では最も分の良い相手。21年世界女王の王曼昱を起用できないのは体調不良なのか。
1ゲーム目のラブオールから、台上のバック強打を2本イージーミスした王芸迪の緊張は明らかだった。平野は絶対的に優位であるバック対バックで得点を重ね、要所でネットやエッジがつく幸運も引き寄せた。ゲームカウント2-0の3ゲーム目、9−10から11-10と逆転し、最後はフォアストレートへの3球目フォアドライブを決めて笑顔でガッツポーズ!
日本女子が中国から2点を奪ったのは、2004年ドーハ大会の準決勝以来。梅村礼が張怡寧、藤沼亜衣が李菊を破った一戦以来だ。
しかし、中国も4番に登場した孫穎莎が、出足から目の覚めるようなスーパープレーを連発。早田にラリーでの駆け引きの余裕を与えないほど、回転量が多く厳しい両ハンドで攻めてくる。早田は孫穎莎のフォアサービスにも苦しめられ、ここは3ゲームを連取されて敗れる。勝負はいよいよラストへと回る。
15歳の張本美和と30歳の陳夢。張本は1ゲーム目、バック対バックで優位に立ち、フォアに回されたボールもストレートへカウンターするなど、陳夢を圧倒。11−4で鮮やかに1ゲームを先取する。
男子準決勝の中国対韓国戦以上に、「時代が動く」空気はあった。この一戦をきっかけに卓球界が大きく動き出すことを期待していた。しかし、2ゲーム目から陳夢は、先に自分から打つよりも、張本に打たせて上回転のラリーにしてからコースを突く展開を増やす。そして要所では迷うことなくフォアドライブを振り抜く。
勝負のポイントは3ゲーム目だった。スコアが離れないシーソーゲームの中で、張本が6−6から伸びる巻き込みサービス、さらに下回転系の巻き込みロングサービスで連続サービスエースを奪い、8−6。しかし、陳夢が8−8に追いつき、張本のフォアミドルへの攻めにもしぶとくバックハンドで返球して9−8と逆転。ここで日本ベンチがタイムアウトを取る。
陳夢はここで低く回転量の多いバックドライブで得点して10−8とゲームポイントを取り、最後はロングサービスから3球目パワードライブ。5点連取でこの3ゲーム目を奪う。
4ゲーム目も陳夢4−1のリードから張本が4−4と追いつき、一時は7−5と逆転したが、陳夢は緊迫したゲーム終盤でもためらわずにロングサービスを連発。怒涛の6点連取で11−6と試合を決めた。張本のプレーはさすがだった。そして陳夢のプレーもさすが五輪女王だった。両者、持てる力を出し尽くした決着だった。
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