大会2日目を終えて、男子シングルスは3回戦までが終了。4回戦からの登場となるスーパーシードへの挑戦権を手にした選手が出揃った。その中で社会人2年目、愛媛銀行所属の増本時祥が自身初の4回戦進出を決めた。
●男子シングルス2回戦
増本時祥(愛媛銀行) 8、3、-4、8 岡本翼(木下アカデミー)
●男子シングルス3回戦
増本時祥 3、6、-9、11 溜大河(専修大)
1月18・19日に行われた四国選手権で優勝し、「良い状態で全日本に入れた」という増本は2回戦でジュニア有望株の岡本を下して初戦を突破。続く3回戦では名門・専修大で中軸を張る活躍する溜に勝利して、4回戦へと駒を進めた。
そんな増本だが、松山商業高時代は全国的には無名。朝日大でメキメキと実力をつけて日本リーグでも活躍するほどの選手になった。朝日大での成長について、増本はこう振り返る。
「朝日大に入って、周りの強い選手に必死についていくうちに強くなれた。あとは米塚さん夫婦(雅弘・暁)の指導が大きいです。他の大学は指導者が常に練習にいる状態ではないと思うんですけど、朝日大はいつも監督、コーチが練習を見てくれている。それがあって、毎日意識を高く持って練習できました」
大学卒業後は日本リーグ加盟の実業団チームに入社する選択肢もあったが「愛媛が好きなので」と、故郷の愛媛銀行に入行。日本リーグなどでの登録は「女子卓球部コーチ」となっているが、日本リーグを戦う女子卓球部のメンバーと同様に午前中のみ業務にあたり、午後からは男子ひとり、女子卓球部に交じって選手として練習。他の実業団選手とは異なる、ちょっぴり変わった選手生活を送っている。
「(日本リーグなどでは)コーチ登録になっていますが、女子卓球部が大会前の時期に指導やサポートに専念する形で、普段は選手として練習させてもらっています。なので、練習量は学生の頃と変わらないどころか多くなっていますね。
指導やベンチでアドバイスをするようになって、客観的に卓球や試合を見られるようになった。それが自分で試合をするうえでも生きていると思います。(女子卓球部は)今は2部ですけど、コーチとしてはもう一度1部に上がって、初めてのファイナル4進出のサポートをしたい。人生一度きりなので、選手としても全日本でのランク入り(ベスト16以上)を目指したいです」
毎年、卓球王国9月号ではインターハイ学校対抗出場校の紹介ページが恒例となっている。その中で各出場校に「チーム紹介」を書いてもらっているのだが、増本が在籍していた頃の松山商業高はメンバーそれぞれにキャッチコピーをつけており、それが独特のセンスとユーモアを放っていた。
ちなみに、当時の増本のキャッチコピーは「連射式コマネズミ」。明日の4回戦の相手は「組み合わせを見て、そこまでは行きたいと思っていた」という戸上隼輔(井村屋グループ)。パリ五輪日本代表を相手に「窮鼠猫を嚙む」ような試合を披露できるか。
ツイート