今日行われた女子ダブルス4回戦、前回3位で第2シードの加藤亜実/小島叶愛(十六フィナンシャルグループ)はインターハイ準優勝の兼吉優花/髙森愛央(四天王寺高)に敗れて残念ながら初戦で姿を消した。小島にとって十六フィナンシャルグループの選手として出場する全日本はこれが最後。今年4月からは故郷の佐賀で公立小学校の教員として新たなキャリアをスタートさせることになっている。
もともと教員志望で、國學院大へ進学したのも「教職を第一に考えて」決めたという小島。当初は大学卒業後すぐに教員となることを目指していたが、十六フィナンシャルグループから声がかかり、実業団選手としての道を選んだ。実業団に進んだのには、故郷への想いもあった。
「入社して3年目になる年(2024年)に佐賀で国民スポーツ大会があるということで、地元に貢献したい気持ちがありました。(入社時点では)まだメンバーになれるとも決まっていなかったけど、国スポで成績を残したくて、そのためには実業団でやるのが一番だと思って十六フィナンシャルグループにお世話になることにしました」(小島)
十六フィナンシャルグループでは2024年全日本女子ダブルスで3位に入賞し、団体戦でも活躍。そして昨年の国スポでも、佐賀成年女子のメンバーとして準優勝に貢献した。入社当初の目標を叶えた。
そうして選手としてプレーしながら、昨年の夏に受けた教員採用試験に合格。2025年4月から小学校教員となることが決まった。選手の場合、「卓球部で指導がしたい」と中学校や高校の教員を志すケースも多いが、小島が選んだのは部活動のない小学校の教員。そのことについて聞くと、教育者としてのまっすぐな答えが返ってきた。
「もちろん、部活動を指導できる中学校・高校も魅力はありましたが、小学校って教育に最初に触れる場だと思っていて、学びの基礎に携わることができる。学校教育の中でも一番長い6年間という時間で子どもたちに接することができるところにも魅力を感じました。
(選手としてプレーしながらの教員採用試験だったが)いずれは採用試験を受けるつもりだったし、大学でもそのつもりで勉強していたので、少しずつ準備はしていました。あとは気持ちでなんとか(笑)」
失礼ながら明豊高時代は全国トップと言える選手ではなかった小島だが、國學院大に入学して関東学生選手権女子シングルスで3位、インカレでも4年時に単複の要としてチームをベスト8に導いた。そうして実業団への道も切り開いた。國學院大での日々が今につながっている。
「大学でも卓球を頑張りたい気持ちがあって國學院に進みましたが、(当時監督の)人見(剛)さんや町田(幸希)コーチ、同期の阿部(里歩/現・豊田自動織機)と小林(美結)、先輩・後輩、本当に人に恵まれました。みんなに『頑張ろう』という気持ちにさせてもらえたし、それがあって今があると思っています。
十六フィナンシャルグループでも全国で表彰台に上ることができて、貴重な経験をさせてもらいました。ここまでスポーツをやらせてもらえたことは、他の先生と違う部分だと思うので、その中で学んだことも子どもたちにしっかり伝えていけたら良いですね」
小島が國學院大に在籍していた当時、監督を務めていた人見さんも「教員になる」という選択について「教員になりたいという人が減っている時代に実業団でプレーして、そこから教員になるというのは本当に立派だと思います」と話していた。
実業団選手としての生活はもうすぐ終わるが、選手として試合に出場する可能性もあり、クラブチームでの指導も行っていく予定だという小島。教員としての目標は「まず、子どもたちにとって学校を楽しい場所にすること」。「小島先生」もしくは「叶愛(かのあ)先生」としてセカンドキャリアがもうすぐ始まる。
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