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全日本卓球2023

“4面使いマルチフェイス”ペン粒の松島由佳、混合1回戦で大接戦の末に惜敗。フォア裏面のコツとは?

全日本卓球一般の部に出場する選手となると、裏ソフトドライブ型の割合は圧倒的で、カットマンやシェーク異質が少数派となっている現在。ペン粒高攻守型となると、超希少価値のある存在だ。そのような中、今大会、「ペン粒」の松島由佳(同志社大)混合ダブルスに出場した。ジュニア出場以来4年ぶり、自身にとって一般は初出場となる。

パートナーは、松島と同じ神戸のクラブチーム「コンパスクラブ」出身であり、同志社大の後輩でもある左腕シェークドライブの隅谷。1回戦の試合は、希望が丘高ペアである石井・田原相手に、出足から優位な展開が続いて2ゲーム連取。松島のプッシュを石井がネットにかける場面が多く、隅谷も甘いボールを次々に決めた。3ゲーム目も隅谷・松島が6-4とリードしたが、そこで石井・田原がタイムアウトを取って、その後逆転。最終ゲームまでもつれ、隅谷・松島が8-10から追いついてジュースが続いたが、石井・田原が16-14で振り切った。

松島コメント「私たちのペアはやりにくいと思うが、慣れられた時に難しかった。全日本予選でも、特に男子が私のボールを嫌がって勝ち上がることができ、さっきの試合でも3ゲーム目の途中まではそういう展開だったけど、後半はうまく処理された。私もパートナーも調子は悪くなかったけど、高校生たちのほうが土壇場で決める力があったし、逆に私はタイムアウトあけでサービスミスしたりと、勝負強さの面で負けた。
久しぶりの全日本で、競った場面で緊張した。皆、『強い』どころでではなく、『少しやりにくい』くらいでは勝てないレベルだということを改めて思いました。私はやりにくいとは思うけど、ペン粒の中ではふつうレベルで、特にプッシュがふつうのボールになっていると感じた。粒高で「何それ!?」みたいなボールも出せて、打たれた時も何とかブロックだけでなく、もっとカットや裏面裏ソフトによるカウンターをするプレーが、今後は必要ですね。今も時々できているプレーを、ファインプレーではなく当たり前にできるようにしたいです」

コンビネーションの良いプレーを見せた同志社大ペア。隅谷(左)も随所でスピードドライブを決めたが、接戦をものにできなかった

●混合ダブルス1回戦
石井佑季・田原留奈(希望が丘高) -7、-7、9、9、14 隅谷傳時郎・松島由佳(同志社大)

 

かつての全日本ジュニアでもフォア裏面打法を披露していた松島。高校1年時(2016年度)出場時には、次のようにコメントしている。「フォアの裏面打法は、卓球王国の新井卓将さんの連載(粒高NEW GENERATION)を見て試していたところ、高島規郎さんに『反転していたら遅れるが、その打ち方ならラリー中も振り遅れない。どんどん使いなさい』と言われて練習をしました。試合で使えるようになるには時間がかかりました」

FH表面粒高、FH裏面裏ソフト、BH表面粒高、BH裏面裏ソフトというマルチフェイス使い(写真は21年全日学)

そして同志社大に入ってから、より本格的にフォア裏面の練習に取り組んでいるとのことで、卓球王国最新号3月号「王国タイムアウト!」内で、本人が練習法を紹介してくれている。それに加えて、フォア裏面打法をこれからマスターした人に向けて、ポイントを聞いてみた。

「いきなりラリーをするのは難しい。最初は多球練習で、フォア側にボールを送ってもらって、まずは相手コートに入れることから始めます。慣れてきたら、コースを打ち分ける、切り替えを入れるなど、本当に初心者がフォア打ちを覚えるのと同じように練習していきます。時間はかかると思いますが、慣れたら徐々に実戦で使えるようになってくるはずです。
ポイントは、手首を使わないこと。手首を使おうとすると安定しないし手首が痛くなる。腕全体で振るようにします。また、フォア裏面はあくまで補助的な打法。フォア側にループが来た時に叩くのが主な目的です。これで何本も点を取れるわけではないけど、戦術が広がるし、『こういう武器もあるよ』と見せることで相手にプレッシャーも与えられます」(松島)

唯一無二のスタイルの松島。より打法の精度を高め、また全日本や全国大会での活躍を見せてほしい。

★2016年度全日本速報「4面使いのマルチフェイスプレーヤー松島、3回戦も善戦」

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