全日本卓球2023、今大会最初の全日本チャンピオンに輝いたのは、混合ダブルス2連覇となる張本智和/早田ひな。決勝のマッチポイントでは、早田が鮮やかなチキータレシーブでノータッチを奪い、圧倒的優勝候補と目されたペアは笑顔を見せた。
●混合ダブルス準決勝
張本智和/早田ひな(IMG/日本生命) 6、2、11 坂根翔大/塩見真希(関西卓球アカデミー/サンリツ)
田中佑汰/田中千秋(愛知工業大/豊田自動織機)6、-7、15、-5、8 伊藤礼博/萩井菜津子(日本大)
●混合ダブルス決勝
張本智和/早田ひな 4、8、6 田中佑汰/田中千秋
4回戦で小林/出澤との苦戦を乗り切り、準々決勝では最大の難敵である篠塚/木原をストレートで下して、本日の準決勝に臨んだ張本/早田。準決勝では、張本/早田が危なげなく2ゲーム先取するも、前日のシングルスで御内(シチズン時計)に逆転勝利を収めていた好調の坂根が、3ゲーム目にアグレッシブなプレーを見せ、坂根/塩見が10-9とゲームポイント。しかし張本/早田には焦りはなく、落ち着いたプレーで逆転勝利した。
続く決勝では、準決勝で伊藤/萩井とのクロスゲームを制して勝ち上がってきた田中佑汰/田中千秋の姉弟ペアと対戦。田中佑汰がラリーで得点を決める場面もあったが、サービスレシーブからラリーに至るまで、終始ペースを握った張本/早田が押し切った。
昨日の会見では「話し合い」という言葉を度々口にした張本と早田。展開が悪くなった場面でも、試合中に戦術を随時確認して修正しながら戦う対応力が光った。準々決勝以降の試合を見ると、点数が競った場面でも焦りはまったく感じさせず、最善のプレーを選んでいたように見える。個々のプレーからは圧倒的な攻撃力を感じさせる張本と早田だが、目の覚めるような攻撃で押すばかりでなく、着実に繋いでコースを突きながらも決定打を放つプレーを見せた今大会。必勝と不敗を兼ね備えた充実のプレーだった。
円熟という言葉を持ち出すには若い張本と早田のペアだが、すでに完成度の高いペアリングと信頼感を作り上げている。この先、見据えるのはパリ五輪。まだ長く厳しく代表選考が控えている現時点だが、「パリ五輪に出場する機会があるなら、東京の金を引き継ぎたい」という早田の力強いコメントの実現には、期待をいだかざるを得ない。
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