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全日本卓球2023

あえて茨の道を行く。フォーティの星、ペン表・勝健真の覚悟

今大会の男子シングルスの最年長プレーヤーは、40歳の勝健真(緑の館・奈良)。男子シングルスへの出場は通算13回目となる右ペンフォア表ソフト・裏面裏ソフトの速攻型。もはや「超」がつくほど希少になった右ペン表の速攻スタイルだ。

昨年12月の全日本マスターズではフォーティ(40代の部)でベスト8。マスターズでのプレーに軸足を移しながらも、「全日本は卓球人にとって一番権威のある大会。全日本でしか味わえない、この独特な緊張感を味わいたい」と男子シングルスへの挑戦を続けている。

1回戦の対戦相手は吉野彪功(フジ・愛媛)。強烈な両ハンドドライブを操り、ショートで振り回そうとしても一発の強打で打ち抜かれる。なかなか勝機を見出だせないまま、ストレートでの敗戦。「三田村(宗明)さんも言っていたけど、若い選手は卓球が違う、まさにそういう感じです。ぼくは特にペン表だから、やっていてものすごくしんどかった。どうやって得点していけばいいのかなと」と試合を振り返った。

相手を振り回すバックショートも通じず、苦しい戦いとなった

強力な両ハンドドライブを連発し、勝を破った吉野

中陣でのフォアハンド主体のプレーから、チキータを交えてバックハンドでも決定打が打てる両ハンド主体のプレーへ。卓球がより速く強く進化していく一方で、自らは年齢を重ね、「フォアでいきたくてもいけない」ジレンマに襲われる。そのジレンマを突き破る道を今、勝は模索している。

「最近は裏面も練習しているけど、逆にこういう両ハンドの時代だからこそ、もっとフォアハンドでいく練習をしないとダメかなと反省しています。同じようなことをやっても勝てへんな、厳しいなと。
今年はまったくノーチャンスでやられてしまったけれど、出るからには勝ち負けを競って、勝利を目指したい。もっと体を絞ったり、トレーニングをして、ただ出るだけでは終わらないようにしたい」(勝)

両ハンドの時代だからこそ、フォアハンドにこだわりたいと語る勝

ペン表速攻型としての矜持(きょうじ)を持ち、あえてフォアハンドを磨く「茨の道」を進もうとしている勝。その励みとなるのは、父・英雄さんの存在かもしれない。「父は62歳とか63歳で全日本の一般に出たと思う。自分だったら60歳で全日本なんて絶対にあり得ないので、すごすぎるという感じですね。どんなやねんと(笑)」。

ちなみに父・英雄さん曰く、40歳での最年長出場は「まだまだあまいね(笑)」。「でも今の若い子は技術力が上がっている。ぼくらが奈良から全日本の一般に出ていた頃は、大学生の選手もナックルをふかしたり、ショートで抜かれたりしていたけど、今はそんなんは通用しませんから」(英雄さん)。

全日本の舞台に魅せられた「フォーティの星」。来年もこの東京体育館で、表ソフトの快音を響かせてほしい。

●男子シングルス1回戦
吉野彪功(フジ) 5、4、4 勝健真(緑の館)

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