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全日本卓球2023

長所だけに頼らない。ペアとしての成熟、パートナーへの信頼が生んだ張本智和/早田ひなの逆転勝利

「はりひなペア」、危うしと思わせる一戦だった。昨年と全く同じ顔合わせとなった混合ダブルス4回戦、小林広夢/出澤杏佳(日本大/専修大)に1ゲーム目を奪われ、2ゲーム目も大きくリードを許した張本智和/早田ひな(IMG/日本生命)。

小林の強烈なチキータでのレシーブは、ブロックがオーバーミスをした早田が目を丸くするほど。フォア表ソフト・バック粒高の出澤の変化球は、張本にとってはドライブの剛球よりよほど嫌なボールだっただろう。序盤は出澤の攻守にタイミングをくるわされ、バックハンドのミスが多かった。

しかし、2ゲーム目の劣勢の中でも、張本/早田は冷静に勝利への糸を手繰り寄せた。「張本選手の得意な部分で勝負すると、どの選手でもついてこられないけど、それ以外の部分でも張本選手の技術は精度が高い。100%のボールを出さなくても私が打ちやすいボールが返ってきたりする」と試合後に語った早田。張本の強烈なチキータやバックハンドの強攻だけで得点を狙うのではなく、サービス・レシーブで変化をつけながらラリー戦での連打で勝負する。「(張本の)強い部分だけに頼らず、連続で打っていって得点できる組み立てに変え、一気に得点できた。それがこの1年でふたりが成長できた部分だと思います」(早田)。

一方の張本は「苦しい場面では話し合ったり、お互いに声をかけたり、ペア歴が長くなる中でコンビネーションもどんどん良くなっている。相手が100%のプレーをしてきてもそれを上回る力はある」と語る。ダブルスとしての成熟、パートナーへの信頼が戦術の幅を生み、大きなピンチを乗り切った一戦だった。

一撃の強打だけに頼らず、ラリー戦でもじっくり構えて勝利をつかんだ張本/早田

今大会での目標について、早田は次のように語っている。「ミックスとダブルスは去年優勝できたし、今年もパートナーと話し合って優勝を目指したい。シングルスはどの選手も強くて、どこで負けてもおかしくないけれど、最後までチャレンジャーの気持ちを持って、調整してきたものを出したい」。

「出場する3種目とも優勝を目指しますが、シングルスはここ4年優勝できていないので、やはり優勝したい気持ちは強い。ダブルスで弾みをつけてシングルスで頑張りたい」。そう語ったのは張本だ。ともに3冠に挑戦する今大会、次なる関門は明日の混合ダブルス準々決勝。篠塚大登/木原美悠との世界代表対決は見ごたえある一戦になりそうだ。

篠塚/木原は4回戦でストレート勝ち。「篠塚選手はミスが少なく、自分も良いプレーができる」(木原)とこちらもコンビネーションを高めている

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