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世界卓球2023

「このラウンドで消えてしまうのはすごく寂しい」吉村真晴は梁靖崑に善戦及ばず2回戦で散る。宇田/戸上はインドペアに快勝

男子シングルス2回戦、吉村真晴は世界ランキング5位の梁靖崑(中国)と対戦。試合前のコンセントレーションの段階から、吉村にはかなりの気合いが入っているのが伝わってた。「卓球人生を懸けた一戦」だっただろう。今大会のアジア大陸予選では馬龍(中国)を破っていた吉村は、「大物食いはしているので、絶対勝つという強い気持ちでコートに立ちたい」と気迫を持って試合に臨んだが、逆に出足の1・2ゲーム目でやや硬さが目立った。善戦はしたものの、梁靖崑の壁は高かった。

序盤から吉村得意のサービスを梁靖崑は着実にチキータ。ラリーでも梁靖崑の安定性が上回り、吉村は2ゲームを先取される苦しい立ち上がり。第3ゲームは7-7から7-10となり吉村がゲームポイントを奪われたが、打ち合い、快速フリック、サービスエースなど5連続得点で逆転で奪った。第4ゲームは梁靖崑が取り、第5ゲームは吉村が右横系サービスを効かせて7-1とリードを広げたが、10-10に。12-12から吉村はバックサービスを使うもマッチポイントを奪われ、そこで梁靖崑がタイムアウト。最後は梁靖崑が鮮やかな3球目チキータで吉村のフォアサイドを抜き去り、ゲームセット。

世界卓球でが初のシングルス出場となった吉村だが、世界ランキング105位で臨んだこともあり、2回戦で中国選手と対戦する厳しいドローとなった。サービス・レシーブでなかなか優位に立てない中で、何とか活路を見出そうとしたが、堅固な梁靖崑の牙城を崩し切ることができず、敗戦後はしばらくコートで目をつぶって悔しさをにじませた。

●男子シングルス2回戦
梁靖崑(中国) 4(5、5、-10、4、12)1 吉村真晴

気迫のプレーを見せた吉村。敗戦に悔しさをあらわにしたが、3ゲーム目以降は好ゲームだった

バック対バックでも優位に立ち、随所でパワフルなフォアドライブを決めた梁靖崑

 

試合後の吉村コメント
「試合をやっている中で、正直感触としては簡単に負けるような試合ではなかった。ラリーでも全然勝てていた。3球目での対チキータのミスや、対ドライブのブロックのミスとか、ラリーになる前のミスがすごく多かったのが悔やまれます。やっている感覚としては、何かをやられたわけではなく、「やられるんじゃないか」という脅威があった。点数としては簡単に取られたゲームもあるけれど、いける試合だったんじゃないかと思う。負けたことがすごく悔しいです。
相手がやることはよくわかっていた。それでも最後の最後で、相手がしっかりフォア側に逆を突いてきたり、そのあたりの勝負勘はさすがだなと思いました。5ゲーム目は7−1くらいでリードしていたし、相手がミスをしていたから『ミスしてくれるんじゃないか』というプレーで挽回されてしまった。そこで勝負を仕掛けるタイミングが遅かった。どうしても勝ちたいという自分の思いがあって、自分の気持ちを抑えられなくて、逆転されてしまったのがすごく悔しい。
(梁靖崑とは初対戦ですが)サービス・レシーブは普通ですし、バック対バックの緩急のうまさやフォアハンドの強さは想定していたけれど、バックハンドの深いボールと浅いボールとか、早いボールだけではなくて浅いボールで崩されて自分の足が止まってしまった。他の中国選手とは違ううまさがあった。ラリー戦では自分が有利だったけれど、その前にタイミングを外してくるのがうまかった。
時吉コーチからは良い試合だったと声をかけてもらいました。世界卓球なので、パリがどうこうじゃなくてここがすべてと思って戦ってきた。いくら惜しい試合をしても、勝たなければ意味がないと思っていたので、自分自身はすごく悔しいし(言葉に詰まる)。このラウンドで消えてしまうのはすごく寂しい。
3ゲーム目以降はバックハンドでのストレートへのコース変更とか、良かった部分もあるけれど、前半は良くても後半で腰が引けてしまったというか、ボールがクロスに集まってしまった。自分をもう少し信じて戦えればよかった。どこか、ミスしてしまうんじゃないかという思いがあった。多少のリスクを負ってでも、バックハンドを強く振ったり、前で振れていたはずですけど、どこかミスを恐れていた。5ゲーム目に7−1から逆転されたのも、セーフティなプレーが多かった。バック対バックでの展開が悪くなかったので、そこからやりたかったですけど、基本的なところでミスが出てしまった。ちょっとした変化に対応していく能力が自分の中で欠けていて、もう少し練習するべきだと感じた。
(今後については)もちろん、パリ五輪への選考レースもありますし、Tリーグ個人戦もありますし、ぼくの世界卓球は終わりましたけど、他の選手たちをしっかりサポートして、自分自身いろいろなことを吸収して、学んで、日本に帰ってからプラスアルファにして良いパフォーマンスをファンにお届けできるように準備していきたい」

 

 

また同時に行われた男子ダブルス2回戦では、宇田/戸上がインドのデサイ(WR136)/シャー(WR152)に快勝。総合力で上回る日本ペアが、台上からラリーまで優位に立ち、自慢の攻撃力を見せて良い形で3回戦進出を決めた。

3回戦(8決定)ではオフチャロフ/フランチスカ(ドイツ)と何鈞傑/黄鎮廷(香港)の勝者と対戦することになる。決勝まで中国ペアとの当たらない組み合わせの中、この3回戦が2大会連続メダル、さらには金メダルへ向けてのひとつの山場になりそうだ。

●男子ダブルス2回戦
宇田幸矢/戸上隼輔 3(4、3、8)0 デサイ/シャー(インド)

「1回戦と同じように自分たちのペースで試合ができて良かった。1回戦に比べて攻撃的にチキータができるようになってきたし、自信を持ってプレーできている。そこはうまく試合での練習でも調整きていると思う」(宇田)

「出足から好調で最後までそれが出せた。次の香港ペア、ドイツペアどちらのペアが上がってきても、ひとつのヤマになると思う。どちらが上がってきても良いように調整していきたい。(昨日は1日試合がなかったが)午前中にウエイトトレーニングを1時間やって、そこから夕方会場で練習しました」(戸上)

仕上がりは上々の戸上(右)/宇田。ぜひ前回(銅)以上のメダルを狙ってほしい

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