卓球王国 2024年10月21日 発売
バックナンバー 定期購読のお申し込み
世界卓球2023

南アに吹き荒れるハリケーン!平野美宇が強敵・田志希を呑み込む

1回戦ではシンガポールの新エース・曾尖に会心のストレート勝利、2回戦ではドイツの才能あふれる16歳のホープ、カウフマンの好プレーの前に2ゲームを奪われるも、強さを見せつけて勝利と、良い状態を見せている平野。3回戦の相手は韓国左腕エースの田志希だ。

1ゲームは長短のサービスから「ハリケーン」両ハンドで一気に10-3。しかし平野と同じく好調の田志希も6本連取で10-9となり、平野がタイムアウト。次の1本は激しい打ち合いとなったが平野が打ち抜いて1ゲーム先取。

第2ゲーム、緩急をつけたラリーに強い田志希だが、ミドルを有効に使うなど平野は冷静なプレーで主導権を握り、マッチポイントではロングサービスで得点。第3ゲームも平野が奪い、第4ゲームも平野が6-2とリード。しかし後がない田志希はサービスを変えて5本連取で逆転するが、10-10から平野が3級目攻撃などで2本連取し、ストレート勝利を決めた。

キャリアのある田志希も戦術面で変化をつけ、ラリー展開でも切れのある打ち合いを見せたが、平野がそれをさらに上回る力強さと冷静さを見せた。サービス、レシーブ、そして「ハリケーン」両ハンドとも好調の平野は、今大会は厳しいブロックに入ったと言われるが、それを跳ねのける快進撃を続けている。ベスト8決定の相手は王芸迪(中国)だが、3月のシンガポールスマッシュで下している相手。今の平野なら中国の牙城を崩すだけの地力と勢いは十分にある。

女子シングルス3回戦
平野美宇 4(9、6、6、10)0 田志希(韓国)

田志希(奥)も調子は良く、両者は目の覚めるような両ハンドの打ち合いを演じた

平野 試合後コメント
「1ゲーム目や4ゲーム目は、かなりリードしている場面で追い上げられてしまった。相手がどんどん強くなってきて、簡単にはミスをしなくなってくるので、次に向けて修正したい。でもそこで勝ち切れたのは良かったと思います。1ゲーム目の10−9でタイムアウトを取った時は、まずは気持ちの面で焦りが出ていたので落ち着くということと、あとは1本スマッシュを取られたりアンラッキーな部分もあったので、戦術をもう一度組み立て直して試合をしました。田志希選手には結果はストレートでしたけど、リードしているときにもっと早く仕留めるべきだった。そういうことをしていると『(勝てて)良かった』で終わらない場面も出てくるので、明日はしっかり仕留めていきたい。

(明日の相手は王芸迪)王芸迪選手とは何度も対戦しているので、お互いに長所や短所はわかっているし、作戦も知っている。その中で1球ずつの戦術がカギになってくると思う。

(今日はお父さんも現地に駆けつけましたが)今日から来る予定だったので、まずは今日まで勝ち残らないといけなかった。勝ち残って、今日も勝ててよかったです。今大会は最低限の目標というのはあまり決めていない。1試合ずつ楽しんで、少しでも長く試合ができればいい。相手がどの国の選手とかは考えずに、ひとりの相手として戦っていきたい。

(シンガポールで王芸迪選手に勝てた理由は?)
1球ずつの処理がかなり良かったですね。中国選手は正直弱いところはない。1球ずつの処理や戦術、本当に細かいところで勝負しないと勢いだけでは勝てない。それがシンガポールスマッシュで良かった部分だし、自分も大事にしてきた部分で、東京五輪前から少しずつ形になってきた。
私はある意味、中国選手というのはあまり考えないほうが良いと思っている。本当にひとりの同じ人間なので。私は超級リーグに行って中国選手と友だちになったこともあるけれど、『中国選手だから』というのはあまり考えなくなりました。だからアジア選手権でも勝てたし、ひとつの強みだと思うので、あくまでひとりの対戦相手と考えてどうやったら勝てるかを考えていきたい」

試合の反省点を語りながらも、同時に充実感もにじませる表情をみせた平野

関連する記事