パリ五輪卓球の男子シングルスは3回戦が行われて、日本の戸上隼輔は韓国のエース・張禹珍にストレートで敗れ、準々決勝に進むことができなかった。
戸上は必死に食らいつき、各ゲームとも競り合いになったが1点が遠かった(Photo:ITTF/ONDA)
意外にもこれが初対決となった両者のカード。カミソリドライブの異名を持つ戸上の両ハンドドライブに対して、張禹珍はバック対バックでは分が悪いと判断したのか、速い打ち合いを避けてブロックで返球。戸上に回転を利用させずにミスやつながせて、それを得意のフォアドライブで打ち込む戦術を使った。
各ゲームとも競り合いになったが、明確に得点パターンを見つけてそれを貫いた張禹珍に対して、戸上は最後まで自分の得点パターンを見つけることができず、それが競り合いでのわずかな差として表れた。
ここぞの場面で勝負強さを見せた張禹珍(Photo:ITTF/ONDA)
戸上は2ゲーム目に8‐10のビハインドからジュースに追いつき、苦しみながらも11‐10、13‐12、15‐14と3度のゲームポイントを奪ったが決めきることができなかった。そして3ゲーム目は10‐8とリードしたが、張禹珍が初めてYGのロングサービスを使ってサービスエースを取ってジュースに持ち込むなど、試合巧者ぶりを発揮。ジュースになってから戸上がやや力んで打ちミスをするなど2ゲーム目に続いてジュースで落とし、心理的にも張禹珍が優位に立っていた。
4ゲーム目は2‐5と張禹珍にリードされたが、ここから戸上は踏ん張りを見せて6オールと追いつき、7‐10からも2得点で9‐10まで迫ったが、最後は戸上が出したバック深くへのロングサービスを張禹珍が回り込みフォアドライブで得点してゲームセット。ゲームカウントを3‐0にしたことで、張禹珍のプレーに余裕があり、勝負所での読みも冴えていた。
A.ルブランはカルデラノに完敗した(Photo:ITTF/ONDA)
東京五輪に続いてベスト8入りのカルデラノ。メダルも見えてきたか(Photo:ITTF/ONDA)
地元フランスのルブラン兄弟も3回戦に登場し、弟のF.ルブランは東京五輪銅メダルのオフチャロフ(ドイツ)をフルゲームの末に下し、ベスト8入りを決めた。激しく、ハイレベルな打撃戦になった戦いは試合中から大歓声が続き、あまりの音に他のコートの選手が気になって間合いを取ってしまうほど。F.ルブランが勝利の瞬間は会場のボルテージが最高潮に達した。
兄のA.ルブランはカルデラノ(ブラジル)に挑むも、好調のカルデラノを崩すことができずにベスト16で敗退した。
●男子シングルス3回戦
F.ルブラン(フランス) 9、13、10、‐8、‐3、‐8、7 オフチャロフ(ドイツ)
張禹珍(韓国) 7、16、10、9 戸上隼輔(日本)
カルデラノ(ブラジル) ‐3、5、6、3、8 A.ルブラン(フランス)
O.アサール(エジプト) ‐8、‐6、10、10、9、3 ゲラシメンコ(カザフスタン)
ツイート
私がやり込んだ練習・牧野里菜「実戦想定で取り組むオール系&ゲーム練習」
全日本卓球[隼の眼]歴史に残る死闘。世界選手権の決勝のようなハイレベルな決勝と、張本の変身
【睡眠&リカバリー④】吉村真晴「寝る前に動画を見ると、寝ながら試合をしてしまうので疲れがとれない」
モーレゴード「パリは超クールで、卓球をすることがとても楽しいと思えた大会だった」
[ワルドナー伝説]vol.8 センセーショナルな16歳
[ワルドナー伝説]vol.22 第3章 5 予測不可能なワルドナー
【伝説のプレーヤーたち】 林忠明(1952年世界ダブルスチャンピオン)「卓球はこれで最後」
[プレイバック2016リオ五輪]激闘の12日間。リオで歴史を作った卓球ニッポン