●男子シングルス決勝
樊振東(中国) ‐7、9、9、8、8 モーレゴード(スウェーデン)
東京五輪の男子シングルス決勝で先輩の馬龍に敗れて銀メダルに終わった樊振東。その馬龍が今大会はシングルスには出場せずに団体のみの出場となり、シングルスに出場した後輩の王楚欽は2回戦でモーレゴード(スウェーデン)に敗れるという波乱。樊振東は中国の威信をかけて絶対に負けられない決勝で勢いに乗るモーレゴードと対戦した。
1ゲーム目、無理に打ちにいかずにやや様子を見ながらしっかりとプレーする樊振東に対して、モーレゴードは下回転や横回転を入れて、打球タイミングも変える多彩なツッツキを使いながら、樊振東のドライブをバックハンドミートで弾き打つなど、アクセル全開でプレー。10‐7とゲームポイントを握ったモーレゴードは、樊振東のバックドライブを回り込んでフォアドライブでブチ抜いて1ゲーム目を先取した。
2ゲーム目になると樊振東はモーレゴードのバックミートにも反応してドライブで打ち返して得点を奪うようになると、準々決勝の張本智和(日本)戦でも行ったフォア側からYGサービスを出すようになる。モーレゴードはこのサービスに苦戦するも、ツッツキからの攻撃で互角の勝負を続ける。9‐9、10‐9で樊振東がゲームポイントを奪うと、最後はモーレゴードのカウンターフォアドライブをカウンターフォアドライブで打ち返す超人的なプレーで決めて、11‐9で2ゲーム目を取り返す。

他の選手が最後まで苦しんだモーレゴードのバックミートに素早く対応した樊振東(Photo:ITTF/ONDA)
3、4ゲーム目もトリッキーなプレーを入れながら食らいついてくるモーレゴードに対して、樊振東は自分のプレーを見失うことなく、バック対バックの展開を作って得点を重ねながら、勝負をかけて回り込むモーレゴードの動きをしっかりと見ながら、逆をついてフォア側にボールを送ってノータッチというプレーを随所に見せた。「モーレゴードは勝負所で回り込んでくる」という分析がしっかりとインプットされていて、それを競り合いの場面でも実行できる技術力の高さがあった。

抜群のテクニックだけではなく、回り込んでフォアドライブも光った(Photo:ITTF/ONDA)
ゲームカウントを3‐1にした樊振東は、5ゲーム目で一気に勝負をかけてスタートダッシュに成功。10‐3とマッチポイントを握る。しかし、ここから開き直ったモーレゴードが横回転ブロックからの一撃強打やフォアのカウンタースマッシュなど、派手なプレーで5連続得点し、10‐8まで追いつかれる。モーレゴードのファンタスティックなプレーに湧き上がる会場。しかし、それでも樊振東の心は乱れることはなく、10‐8でモーレゴードがバック側に出してきた巻き込みロングサービスをバックドライブでストレートに攻撃。サービスを出したと同時に回り込みを開始していたモーレゴードのフォアサイドを鮮やかにノータッチで決めた。
勝利を決めた樊振東はベンチの王皓に抱きついて喜びを分かち合い、王皓は樊振東を誇らしげに高々と抱き上げた。樊振東がついに、五輪、世界卓球、ワールドカップの3大大会の優勝という「大満貫」を達成した瞬間だった。

念願の大満貫を達成した樊振東(Photo:ITTF/ONDA)
敗れたとはいえ、モーレゴードのここまでの活躍は優勝に値するほどのインパクトがあり、2021年世界卓球の銀メダルに続いて、五輪でも銀メダルを獲得という快挙を見せた。ここ数年はWTTでも結果を出せずにいたが、大舞台での強さをまざまざと見せつけ、その力が世界トップであることを知らしめた。
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