金メダル候補の王楚欽(中国)を破り、世界を驚かせたトゥルルス・モーレゴード(スウェーデン)。そのウエアを見て、世界中のオリンピックファン、卓球ファンは思わず胸のマークに目が止まっただろう。
モーレゴードが着ていたのは日本が生んだ世界的ブランド「ユニクロ」だった。同ブランドは5年前からスウェーデンオリンピック・パラリンピック委員会とパートナーシップを結んでいる。
モーレゴードが着ている LifeWear コレクションのシャツは店舗で回収したユニクロ商品
(ポリエステル高混率素材)の一部を、化学的にリサイクルし、公式ウェアに採用しているとのこと。このコレクションのキーワードは「クオリティ」「イノベーション」「サステナビリティ」。モーレゴードの独特の六角形ラケットから繰り出す創造的なプレーは「クオリティ」「イノベーション」と合致する。
オリンピックで選手が着用するのは競技団体(協会)が契約するオフィシャルサプライヤーのウエアか、オリンピック委員会が契約するオフィシャルサプライヤーになる。スウェーデンの場合は協会は「スティガ」との契約だが、オリンピック委員会は「ユニクロ」だった。
もともとスウェーデンは1960年代に当時世界チャンピオンだった日本の荻村伊智朗(のちに国際卓球連盟会長)をコーチとして招聘し、荻村が日本式の練習を植え付けた国だ。フットワークとサービスからの攻撃をシステムを伝授し、スウェーデンの卓球選手たちはそれをさらに合理的に進化させ、その後、ヨーロッパを席巻し、「ヨーロッパの日本卓球」と恐れられた。その後、1980年代から2000年にかけてスウェーデン全盛時代を築き、世界の卓球をリードした。
世界のトップに立った時でも、スウェーデンの選手やコーチは「スウェーデン卓球の礎は日本の卓球だ」と公言していた。卓球界で半世紀以上続いたスウェーデンと日本の関係は、今回のオリンピックではスウェーデン選手を支える「ユニクロ」が裏方として引き継いでいる。
卓球界のイノベーター、モーレゴードは準決勝進出をかけて明日、準々決勝を戦う。
ベスト8進出を決めた後のモーレゴードと元世界チャンピオンのパーソン監督
ツイート
【五輪卓球の歴史エピソード】アトランタでの中国の逆襲。準々決勝で停電し、明暗を分けた試合
[特集・石川佳純]2014年、世界卓球を語る。「こういう舞台で活躍できたことはすごくうれしくて、すごく自信にもなって、これからの自分にも生きてくる」
英田理志「ぼくのピークはまだ来てないと思っています。ここからが勝負ですね」
[ワルドナー伝説]vol.8 センセーショナルな16歳
【アーカイブ】水谷隼&石川佳純の対談 vol.3 「ぼくは誰に勝ってもうれしさはあまりない。中国のトップ4人に勝たないと」(水谷)
【セカンドキャリア】下山隆敬「現役をやめても卓球に対する思いが残るんですよ。ずーっとついて回るんですよ」
[こだわりすぎた男たち Vol.19]篠平 静 工具の如き独特の風貌「人と違う卓球をやりたい」
Top of Asia 張本智和『優勝を意識しなくていいからと言ってもらえて、その言葉に救われました』