●女子シングルス決勝
陳夢(中国) −4、7、4、−9、9、6 孫穎莎(中国)
卓球とは何と奥深いスポーツか。優勝候補の本命と思われた孫穎莎を下し、パリの女王に輝いたのは陳夢。1992・1996年五輪優勝の鄧亜萍(中国)、2004・2008年五輪優勝の張怡寧(中国)に続く、女子3人目のシングルス2連覇!
1ゲーム目のラブオール、フォア前に出した陳夢の1本目のサービスがネットを越えず、サービスミス。意外な形のスタートとなった女子シングルス決勝。中国の女子応援団が大挙して会場を訪れる中、送られる声援は明らかに孫穎莎へのものが多い。1ゲーム目はその声援に乗り、孫穎莎が陳夢のミドルへうまくボールを集めながら、チャンスボールをフォアのパワードライブで打ち抜いて11−4で先制する。
前回の東京五輪の女子シングルス決勝で陳夢に敗れた孫穎莎。この大舞台で、二度続けて敗れるわけにはいかない。
しかし、試合は2ゲーム目から徐々に陳夢のペースとなる。世界No.1の守備力で孫穎莎の連続攻撃を受け止めながら、チャンスボールは正確なフォアハンドで狙い打つ。「矛(ほこ)」の孫穎莎と、「盾(たて)」の陳夢。緩急を交えた陳夢の攻守に、孫穎莎のミスが増える。
2ゲーム目は3−3から6−3、9−5、10−7と離した陳夢が11−7で取り返し、3ゲーム目も中盤で大きくリードし、10−4で孫穎莎の連続ロビングをミスなく打ち切る。
4ゲーム目はやや攻撃が単調になっていた孫穎莎が、バックハンドでうまく緩急をつけ、バックのループドライブからサイドを切る厳しいコースへ両ハンドを決める。10−5の孫穎莎のゲームポイントから、10−9まで陳夢が追い上げて孫穎莎がタイムアウト。苦しい孫穎莎だが、横回転を入れた深いフォアツッツキでバックハンドのミスを誘い、ゲームカウント2−2に追いつく。
勝負の5ゲーム目は、中盤から孫穎莎がリードしては陳夢が追いつく展開。孫穎莎が9−7とリードしながら、ロングサービスからバック連打を決めた陳夢が9−9に追いつく。勝敗を左右するこの9−9の局面で、陳夢は孫穎莎のミドルへの連打をしのぎ切り、逆に孫穎莎のフォアミドルへ反撃してラリーを制した。この5ゲーム目を11−9で奪った陳夢が、6ゲーム目は一気に突き放して11−6で優勝を決めた。
圧倒的な攻撃力で相手を守勢に追いやり、一方的なスコアで勝利を重ねる孫穎莎。しかし、陳夢の懐の深い守備に跳ね返され、逆に守勢に回った時にわずかなプレーの綻(ほころ)びが見えた。女子シングルスのフィナーレを飾るにふさわしい、ハイレベルな戦いだった。
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