パリ五輪卓球の男子団体、銅メダル決定戦に挑んだ日本は地元フランスに2-3で敗れ、リオ五輪の銀メダル、東京五輪の銅メダルに続く3大会連続のメダル獲得はならなかった。
●男子団体銅メダル決定戦
〈フランス 3-2 日本〉
◯A.ルブラン/ゴーズィ 5、7、-5、6 戸上隼輔/篠塚大登
◯F.ルブラン -11、4、-9、6、10 張本智和
A.ルブラン -8、-9、9、-9 戸上隼輔◯
ゴーズィ -8、8、-8、-12 張本智和◯
◯F.ルブラン 7、7、-12、11 篠塚大登
前日にスウェーデンに逆転負けして決勝進出を逃した日本は、完全アウェイの中でフランスと対戦。
1番のダブルスはここまで3戦全勝の戸上隼輔/篠塚大登ペアが登場。試合が始まるとメダル獲得へのプレッシャーと会場の雰囲気に飲まれたのか篠塚のプレーが硬く、ミスが続いてしまう。対するフランスペアは押せ押せムードの中で強気のプレーを連発。日本ペアは3ゲーム目を取り返したが、4ゲーム目の出足で点差を離されてゲームセット。終始受け身になってしまっていた。
2番のエース対決は張本智和とF.ルブラン。日本はここで1点を返して戸上隼輔につなぎ、4番の張本で決めたい。世界トップ同士の戦いは序盤から高速両ハンドのラリーの応酬になる。張本は1ゲーム目に1-5とリードを許したが、ミドル攻めからチャンスを作って強打の戦術を取り続けて逆転勝ち。その後はお互いにゲームを取り合い、勝敗の行方は最終ゲームへ。
張本はバックサイドを切るサービスやミドルへのロングサービス、フォア側からのYGサービスと持てるサービスからの両ハンドカウンターでF.ルブランを攻略し、10-7とマッチポイント。しかし、この場面でもF.ルブランは攻めの姿勢は変わらず、5連続得点で逆転勝ち。最後は張本のわずかに浮いたサービスを回り込んでストレートにフォアドライブで決めた。F.ルブランの頭の中には「劣勢」という言葉がないのかもしれない。そう思わせるほど迷わずに両ハンドを振り続けていた。
あとがなくなった日本は戸上がA.ルブランのパワーとロビングを力とコース取りで攻略。持ち前の強打をしっかりと打ちながらも要所でブロックを混ぜてミスを減らすなど、戦い方の良さが光った。ゲームカウント3-1でA.ルブランを振り切り、張本につないだ。
戸上からバトンを受けた張本は、ゴーズィの中陣からのプレーに苦しめられる場面もあったが、最後は強気のプレーを見せて3-1で勝利。日本が粘りを見せて2-2に追いついた。
5番の篠塚はダブルス時とは打って変わってスタートから高い集中力と闘志を見せる。1、2ゲームとも5-5と中盤まで互角に展開ができていたが、そこからF.ルブランのテンポの早い間合いで試合を進められて点差を離されて落とした。しかし、3ゲーム目になるとF.ルブランのドライブをブロックできるようになり、ブロックでミスを誘いながら、要所でコースをついたドライブで得点。9-10とマッチポイントを奪われたが弱気にならず逆転でこのゲームを奪った。
4ゲーム目も篠塚のプレーは良く、6-3とリードを奪ったがF.ルブランは点差を関係なくフルスイングで攻めてくる。9-9で篠塚はサービスミスをして9-10。ジュースに追いつくも最後はF.ルブランのフォアドライブに押されて11-13で敗れた。
スウェーデン戦に続いて僅差の戦いで敗れた日本。アウェイの状況で選手たちは最後までよく戦った。称えるべきは最後まで攻めの姿勢を貫いたフランスチームと言っていいだろう。
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