●女子シングルス3回戦(ベスト8決定戦)
平野美宇 6、9、−12、8、6 バトラ(インド)
5ゲーム目の10−6で迎えた最初のマッチポイント。バトラのフォアドライブに対して飛びついた平野美宇の返球が、ネットをかすめて相手コートに吸い込まれた。バトラは返球できず、ガッツポーズのあとにあわてて相手に謝った平野。そして最高の笑顔が弾けた。待ちに待ったオリンピックのシングルスの大舞台で、ベスト8進出だ。
スコアを見れば快勝、しかし決して楽な試合ではなかった。バトラの粒高のバック面にボールを集めないよう、バック対バックのラリーにせずに早いタイミングでバトラのフォアサイドを突いた平野。2ゲーム目に6-2のリードを追いつかれながら、回転量の多いフォアドライブをバトラのフォアに送って11−9と2ゲームを連取。しかし、3ゲーム目は2−7のビハインドから9-9まで追いつき、10−9から3回のゲームポイントを奪いながらも取り切れず、12−14で落とす。
バトラのフォアサイドへボールを集めた平野(Photo:ITTF/ONDA)
フォアドライブも威力十分だったバトラ(Photo:ITTF/ONDA)
4ゲーム目も6-2から6-6と追いつかれ、終盤まで競り合ったが、平野の表情にはどこか余裕があった。焦りや落胆など、ネガティブな感情が表情に現れることもある平野だが、今日のバトラ戦は最後まで「良い顔」をしていた。10-9の2回目のマッチポイントで、台から出るサービスを見逃さずにループドライブで攻めて得点し、勝利に王手をかける。
5ゲーム目は出足で5-1、さらに8-3と一気にリード。ここでチャンスボールをミスしても、タオルを手に笑みを浮かべ、決して焦っていなかった平野。8-6まで挽回されながらも、10-6でマッチポイントを握り、最後は飛びつきのフォアハンドを相手コートにねじ込んだ。
東京五輪やパリ五輪に向けた代表選考レースでは重圧に苦しみ、ラケットを置くことさえ考えた平野。ベスト8をかけたバトラ戦で見せた表情には、苦しい日々の中で培ったセルフコントロールの輝きが感じられた。念願のシングルス出場でベスト8進出、このままの勢いで勝ち進みたい。準々決勝の対戦相手は、申裕斌(韓国)対リリー・チャン(アメリカ)の勝者。どちらが来ても激しいラリー戦になりそうだ。
苦しみながらも手応えあり、平野は勝利にこの表情(Photo:ITTF/ONDA)
●女子シングルス3回戦(ベスト8決定戦)・その他の試合
ピョン・ソンギョン(北朝鮮) −6、−6、−9、9、8、6、7 A.ディアス(プエルトリコ)
ポルカノバ(オーストリア) 10、4、11、9 スッチ(ルーマニア)
鄭怡静(チャイニーズタイペイ) 2、8、8、9 バヨル(ポーランド)
陳夢(中国) −8、5、6、4、8 エーラント(オランダ)
※北朝鮮=朝鮮民主主義人民共和国
北朝鮮のピョン・ソンギョンがA.ディアスを0-3の劣勢から粘り倒し、2回戦のミッテルハム戦に続く大逆転でベスト8入り。混合複に続いて、北朝鮮勢が旋風を巻き起こしている。ポルカノバはスッチのフォアへの攻めをうまくしのぎ、前陣を死守して身長差のあるスッチを圧倒した。
バック対バックのピッチの早さと運動量でバヨルを圧倒した鄭怡静、エーラントに1ゲームを先取されながらも落ち着いてラリーを制した陳夢も順当に勝ち上がっている。
未知なる強豪、ピョン・ソンギョンがA.ディアスに大逆転勝ちで8強(Photo:ITTF)
チャイニーズタイペイのエース、鄭怡静も隙のないプレーを見せた(Photo:ITTF)
オリンピックになると強いポーランドのバヨル、鄭怡静に完敗するもベスト16は立派な成績(Photo:ITTF)
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