●女子団体決勝
〈中国 3ー0 日本〉
◯陳夢/王曼昱 ー9、6、ー6、6、10 早田ひな/張本美和
◯孫穎莎 11、6、6 平野美宇
◯王曼昱 ー12、10、7、6 張本美和
孫穎莎 ー 早田ひな
陳夢 ー 平野美宇
日本女子、1番のダブルスから女王・中国を追い詰めるも0ー3で敗れ、2大会連続の銀メダル…!
日本は決勝での中国との大一番で、思い切ったオーダー変更に出る。これまでダブルスで起用してきた平野美宇/張本美和のペアを崩し、早田ひな/張本美和を起用。2023年WTTコンテンダー ザグレブで孫穎莎を破っている平野美宇を2番シングルスに起用し、思い切って当てにいった。
この選手起用に応え、素晴らしいプレーを披露したのはトップに出場した早田/張本。1ゲーム目、早田のチキータから張本のバックストレートの強打、さらにフォアカウンターが次々に決まり、5ー1と完璧なスタートダッシュ。8ー4から8ー8に追いつかれるも、11ー9で押し切って1ゲームを先取する。
早田/張本は前陣に右利きの張本、中陣に左利きの早田が構え、さらにバックハンドのストレートへの攻撃をうまく使って、右利き同士のペアである陳夢/王曼昱を揺さぶった。特に3ゲーム目、5ー6から6点連取で11ー6にしたプレーはほぼ完璧。9ー6から中国ペアをバックに寄せ、大きく空いたフォアを張本が完璧な回り込みで打ち抜き、10ー6のゲームポイントでは張本が相手のエッジすら驚異的な反応で拾った。
決して負けられない中国ペアも、陳夢の飛びつきざまのフォアストレート、王曼昱の叩きつけるようなバックカウンターなどで対抗。最終ゲームにもつれた一戦は、早田/張本が4ー5から5点連取で9ー5と突き放せば、中国ペアも負けじと5点連取で10ー9と逆転する。場内が興奮のるつぼと化す中、最後は中国ペアが11ー10と2回目のマッチポイントで、早田の回り込みドライブがオーバー。早田/張本、あと一歩で金星を逃した。
2番・平野も出足は絶好調。バック対バックの展開で孫穎莎を圧倒すると、チャンスボールは積極的に回り込み、孫穎莎のバックサイドを鮮やかに打ち抜く。1ゲーム目は7ー1と大量リードを奪う。
しかし、ここから孫穎莎はジワジワと挽回し、9ー9で追いつく。平野は10ー9と先にゲームポイントを奪うものの、孫穎莎の強烈なチキータでエースを奪われ、この1ゲーム目を11-13で落とす。
2ゲーム目以降は、徐々に平野のピッチに慣れた孫穎莎がリードを広げ、11ー6で2ゲームを連取。バック対バックから、臆することなくバックストレートへバックハンドで攻め、孫穎莎をフォアに 揺さぶった平野だが、3ゲーム目も孫穎莎が8-6から3点を連取し、クールに試合を決めた。
後がなくなった日本は、3番張本に逆転へのバトンを託す。1ゲーム目を先取したのは張本だ。13ー12で迎えた4回目のゲームポイントで、フォアのループドライブからバック強打をクロスに決めて得点。粘る21年世界女王の王曼昱を振り切る。
2ゲーム目以降も、176cmの長身を誇る王曼昱のパワーに打ち負けることなく、台に近い前陣をキープして好ラリーを展開した張本。しかし、絡みつくように回転量を増してくる王曼昱の両ハンドに、少しずつミスが増える。フォアに厳しく攻めたボールも、王曼昱は飛びついて回転量の多いボールで打ち返し、ミスを誘う。
ゲームカウント1ー2と逆転された4ゲーム目、硬さの取れてきた王曼昱に1ー5、3ー7、5ー9とリードを許した張本。バック対バックからチャンスを作った王曼昱がフォア強打を決め、6ー10でゴールドメダルポイント。最後はミドルから張本のフォアへ、王曼昱が強烈な3球目バックドライブをノータッチで決めた。
決勝での思い切ったオーダー変更、そしてダブルスから中国にあと一歩まで迫った日本。しかし、女王の背中は追いつくたびに遠ざかった。中国女子の団体5連覇で、パリ五輪・卓球競技はすべての日程を終了した。
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