●男子シングルス銅メダル決定戦
F.ルブラン(フランス) 6、10、7、6 カルデラノ(ブラジル)
パリ五輪卓球の男子シングルス銅メダル決定戦。地元フランスの17歳、F.ルブランがカルデラノを4‐0のストレートで下し、五輪卓球史上最年少でメダルを獲得した。試合時間はわずか31分。ここまで一方的な試合内容になることを誰が予想できただろうか。
F.ルブランは右横回転系、巻き込みの左横回転系のサービスを長短、左右、ミドルに相手が予測できないほど毎回変えながら出してカルデラノのレシーブをあまくさせると、カルデラノのサービスに対してはカウンターをされるのを避けるためにチキータは最小限にして、代わりにガツンと切る鋭いツッツキとストップを混ぜて、カルデラノの3球目強打を封じることに成功。カルデラノがツッツキを持ち上げてくると、それを高い打球点から両ハンドカウンターで狙っていった。
F.ルブランのライジングをとらえた裏面バックドライブ(Photo:ITTF/ONDA)
対するカルデラノは、F.ルブランに対する戦術が定まっていなかった。準決勝でF.ルブランに快勝した樊振東(中国)が見せた「徹底したミドル攻め」が、対F.ルブランのお手本となる戦術になるのだが、カルデラノはそれがわかっていたができなかったのか、もしくは違う戦術を立てたのか、ミドルを効果的に攻めていなかった。
カルデラノの唯一の見せ場になったのが2ゲーム目の3‐8の劣勢から10‐9とゲームポイントを奪ったシーン。ここでゲームを奪って1‐1のタイに戻したかったが決めきることができなかった。
ツッツキに対して持ち上げるドライブが多くなっていたカルデラノPhoto:ITTF/ONDA)
3、4ゲームもF.ルブランはツッツキをバックとミドルに送ってから両ハンドで攻める戦術を行ったのに対して、カルデラノはバックドライブこそ入るようになっていたが両サイドに打つためF.ルブランにカウンターを浴びることも少なくなく、勝機を見つけることができなかった。
17歳で五輪のメダルを手にしたF.ルブランは、これからさらに強さに磨きがかかり、成長スピードを加速させていくだろう。対中国にこそ課題が残るが、年齢的に見てもこれから克服していける可能性と時間はたっぷりある。
前陣でのプレーを基本にするF.ルブランだが、中陣からの打ち合いでも強さを見せた(Photo:ITTF/ONDA)
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