●女子団体準決勝
〈日本 3−1 ドイツ〉
◯早田ひな/平野美宇 3、3、−6、8 シャン・シャオナ/ワン・ユエン
張本美和 −9、−8、−8 カウフマン◯
◯平野美宇 7、6、9 ワン・ユエン
◯張本美和 8、5、0 シャン・シャオナ
日本女子、ドイツを3−1で破って2大会連続の決勝進出!
日本は1番、早田/平野が出足から快調に飛ばす。ハイトスサービスのシャン・シャオナとバックサービスのワン・ユエンという、特徴的なサービスを持つドイツペアだが、早田/平野は正確なレシーブから、サイドを切る厳しいコースへ両ハンドドライブを打ち込み、ドイツペアを翻弄。1本取るごとに声を出す早田は特に気合が入っていた。
3ゲーム目に開き直ったワン・ユエンのフォアハンド強打がよく決まって1ゲームを奪われ、4ゲーム目も中盤まで競り合ったが、最後は8−8からの3点連取で勝負あり。早田/平野は笑顔でハイタッチを交わした。
このまま3−0での勝利は確実。そう思われた矢先、ドイツのニューヒロインが日本の前に立ちはだかる。インド戦でバック粒高のバトラとアクラに完勝し、準決勝進出の立役者となった左腕・カウフマンが、張本美和をストレートで破る。
カウフマンの特徴はYGサービスと、両ハンドのストレートへの攻撃。YGサービスを使う女子のサウスポーは、ヨーロッパならシングルスでベスト8に入ったポルカノバ(オーストリア)がいるが、世界的にはやはり希少。カウフマンは張本のフォア前へ切れ味鋭いYGサービスを出し、強烈な両ハンドを打ち込んできた。コンパクトなバックスイングからのストレートへの攻めはコースが読みにくい。
これほどの選手が、ハン・インの欠場がなければドイツ代表に名を連ねることはなかったというのも驚きだ。しかもカウフマンはドイツの大学入学資格試験『Abi』を受け、ピンチヒッターでの五輪出場が決まるまではほとんど練習をしていなかったという。張本のプレーが良くなかったというより、カウフマンのプレーが良すぎたという試合内容だった。
今大会初失点を喫した日本だが、3番・平野がドイツに傾いた流れをピシャリと切る。1ゲーム目の出足から、ワン・ユエンのバックサービスをバックで正確にレシーブ。台上で確実に先手を取り、バックストレートへのバックハンドでワン・ユエンを揺さぶる。
ワン・ユエンのフォア強打も威力があったが、試合の主導権は常に平野が握っていた。3ゲーム目は5−7と中盤でリードされたものの、そこから5点連取で10−7とマッチポイントを握り、粘るワン・ユエンを11−9で振り切った。
そして4番。再び登場した張本は、41歳のシャン・シャオナとの「25歳差対決」。1ゲーム目は1−6でリードを許し、2番で敗れた影響も感じさせたが、ここから1本取るごとに拳を固め、自らを鼓舞する。なんと2−7から8点連取で10−7と逆転し、11−8で1ゲーム目を先取する。
2ゲーム目以降も右ペン表のシャン・シャオナのバックショートに対して、正確なバックドライブを連打し、バック対バックのラリーを確実に制してストレート勝ち。3ゲーム目はなんと10−0でマッチポイントを握り、サービスエースで11−0で勝負を決めた。
勝利後、安堵の涙を見せた張本。「2番で負けたのは本当に悔しかったですけど、すぐに切り替えてプレーできるかどうか、すごく不安でした。4番でコートに立ったとき、平野選手、早田選手が『思い切って』と声をかけてくださったおかげで、そのひと言で4番を乗り越えられた。反省する部分もあるんですけど、今はホッとしています」。ミックスゾーンでそうコメントした。
これで銀メダルが確定し、大会最終日、8月10日夜の女子団体決勝で中国と対戦する日本女子。「最初から目指すのは金メダルですけど、考えすぎないように、思い切って自分のプレーができれば結果はついてくると思う。頑張ります」(張本)。卓球競技のラストを飾る大一番で、釜山大会のリベンジだ。
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