●女子シングルス準々決勝
申裕斌(韓国) 4、7、5、−7、−8、−9、11 平野美宇
平野美宇、ゲームカウント0-3の劣勢から3-3に追いつき、最終ゲームに2度のマッチポイントを握るも……実らず!
初出場のオリンピックのシングルスはベスト8で終戦!
1ゲーム目から、相手をアリ地獄に引きずり込むような申裕斌の連続両ハンドに、対応が後手に回った平野。やや動きが硬く、表情にも3回戦までのような充実感が感じられなかった。2ゲーム目は執拗(しつよう)にミドルを攻められ、3ゲーム目は0−3、1-5、3-7、5-10と常に大きくリードを許す展開。まったく勝機をつかめないまま、3ゲームを連取される。
3ゲーム目のゲーム終了後、主審に申し出てウェアを着替えにフロアの外に出た平野。試合後、「このままじゃ後悔するなと思って、一回服を着替えた。今までの自分だったらそこで(心が)折れちゃっていたんですけど、挽回できたことは良かった」と振り返った。4ゲーム目から徐々に平野本来のリズムが戻り、ピッチの早いハイレベルな両ハンドの応酬。開き直った平野が3ゲームを連取して、3-3に追いつく。
ようやく追いついた最終ゲーム、平野は0-4と出足で離される苦しい展開から6-6として、そこからシーソーゲームで9-9。平野がフォア前の台上処理から回り込んでバックストレートを打ち抜き、ついに10-9でマッチポイントを迎える。
10-9、11-10と2回のマッチポイントを握った平野。そこで2本連続でチキータでのレシーブを選択したが、10-9ではネットミス、11−10でもあまり威力が出せず、ラリーから申裕斌に決められた。「最後は意識しないつもりだったんですけど、チキータがあまくなってしまった。そこが足りなかったなって思います」(平野)。
対する申裕斌は12−11で迎えた最初のマッチポイントで決め、決着の瞬間、ふたりは自分の体を支えられなかった。
ひとりは最上の歓喜、ひとりは限りない落胆。ベンチに戻して流した涙も、うれし涙で無邪気な笑顔を浮かべる申裕斌に対し、平野は床に座り込んで悔し涙に濡れた。
勝者と敗者のコントラストは残酷だったが、互いに持てる力を出し尽くした大熱戦だった。試合時間は1時間20分。平野、続く団体戦でメダル獲りだ。
★平野美宇・試合後のコメント
「このままでは負けられないと思って、1球ずつ頑張ったんですけど、勝てなくて悔しい。(申裕斌のプレーは)いつもよりラリーがゆっくりだったり、サービス・レシーブで優位に立つことができなくて焦ってしまった。それでも修正できてからはかなり良かった。
なかなか出場権を獲得できなかったシングルスなので、最初で最後かもしれないと思っていた。後悔はないですけど、メダルを取るまでには足りなかったので、団体戦に生かすしかないかなと思います」(平野)
●女子シングルス準々決勝
陳夢(中国) 5、3、0、8 ポルカノバ(オーストリア)
女子シングルス準々決勝の1試合目となった、現五輪女王の陳夢とポルカノバの一戦は、陳夢がストレートで完勝。下回転のボールに対し、フォアで強いボールが打てないポルカノバの弱点を見抜き、フォアへのツッツキやハーフロングサービスをポルカノバに打たせて両ハンドでカウンターした陳夢。3ゲーム目は11−0で奪うなど、一方的な展開となった。
写真=ITTF/ONDA
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