5月20日(土)より南アフリカ・ダーバンでスタートする世界卓球選手権個人戦。アフリカ大陸での世界選手権開催は1939年のエジプト大会以来、84年ぶりとなる。卓球王国WEBでは今回も現地から速報をお届け。開幕に先駆け、大会の見どころを紹介していく。今回はダブルス3種目。
前回の世界選手権個人戦・ヒューストン大会、日本は混合ダブルスで張本智和(智和企画)/早田ひな(日本生命)が銀メダル、女子ダブルスで伊藤美誠(スターツ)/早田が銀メダル、男子ダブルスで宇田幸矢/戸上隼輔(ともに明治大)が銅メダルと3種目すべてでメダルを獲得。今大会でもメダル獲得はもちろん、優勝が期待される。
日本からは混合ダブルスに前回準優勝の張本/早田の他、宇田/木原美悠(木下グループ)が出場。張本/早田は出場した大会では安定して上位に食い込んでおり、今大会も第2シードで迎える。取りこぼしなく勝ち上がり、前回大会の決勝で敗れた王楚欽/孫穎莎(中国)にリベンジでのVを狙う。
宇田/木原は篠塚大登(愛知工業大)が故障により出場辞退となったことで、大会直前にペアの変更が決定。国際大会での実績がないため初戦から強豪ペアとの対戦も予想される。とはいえ、ともにダブルスでの実績も豊富な2人。木原は女子ダブルスでもパワーが武器の左腕・長﨑美柚(木下グループ)とペアを組んでいることもあり「長﨑選手と組んでいる時も、宇田選手と組んでいるイメージはできる」とコメント。木原がチャンスメイクし、宇田のパワードライブにつなげるパターンを確立できれば、表彰台も夢ではないだろう。
今大会の第1シードは前回優勝の王楚欽/孫穎莎だが、中国から出場のもうひとペア、林詩棟/蒯曼も相当に手強い。世界トップの出場が少ない大会もあったとはいえ、今年に入ってからはWTT5大会連続優勝を果たすなど、確実にメダル争いに絡んでくるだろう。
他の出場ペアでは東京五輪4位のルベッソン/ユエン・ジアナン(フランス)、黃鎮廷/杜凱琹(香港)、林昀儒/陳思羽(チャイニーズタイペイ)、林鐘勲/申裕斌(韓国)、チウ・ダン/ミッテルハム(ドイツ)といったペアが上位候補か。過去の大会出場機会は少ないがゴーズィ/パヴァデ(フランス)、フランチスカ/シャン・シャオナ(ドイツ)といったペアも面白そうだ。
日本からは女子ダブルスに伊藤/早田、木原/長﨑がエントリー。伊藤/早田は2019年大会、前回の2021年大会と2大会続けて決勝で孫穎莎/王曼昱(中国)に敗れて準優勝。3度目の正直で悲願の優勝を果たしたいところだが、やはり伊藤の腰痛が一番の懸案材料か。ペアでの練習に十分な時間を割いて大会を迎えることは難しそうだが、「私のコンディションさえ良ければ、これまで作り上げてきたものがあるので心配はしていない。早田選手と笑い合って試合ができたら良いなと思う」(伊藤)と長年培ったペアリングで打倒・中国を目指す。
木原/長﨑は世界選手権には初出場だが、2019年のグランドファイナルでは孫穎莎/王曼昱を下して優勝を果たすなど、国際大会での実績は十分。4月に出場したWTTスターコンテンダー・バンコクでは「感覚的にズレている部分があった」(長﨑)そうだが、事前合宿では毎日ダブルスでの練習に取り組み、コンビネーションを取り戻してきた。グランドファイナルを制したような連係に、より逞しくなった個々の技術が加わったプレーを披露できれば、メダルはもちろん決勝進出も狙える。
そんな日本女子2ペアにとって、最大のライバルとなるのはやはり中国。2連覇中の孫穎莎/王曼昱と陳夢/王芸迪が出場するが3月のシンガポールスマッシュでは1・2フィニッシュを果たしている。
他のペアでは田志希/申裕斌(韓国)、鄭怡静/李昱諄(チャイニーズタイペイ)、杜凱琹/朱成竹(香港)といったアジア勢が手強そうだ。ヨーロッパ勢ではシャン・シャオナ/ミッテルハム(ドイツ)、前回大会で驚きの3位入賞を果たした倪夏蓮/デヌッテ(ルクセンブルク)に注目。
世界選手権初出場となった前回大会で男子ダブルス3位に入賞した宇田/戸上は今大会に第2シードとして出場。ともに会見では「優勝が目標」と語るなど、前回大会を超える決勝進出、さらには頂点を目指す。今年はWTT3大会で決勝に進み、優勝が1回、準優勝が2回。次なる日本男子の最強ペアとして活躍に期待したい。
日本男子のもうひとペアは張本/吉村真晴(TEAM YOSHIMURA)。当初は張本/篠塚のペアでのエントリーだったが、篠塚の欠場により急遽ペア変更となった。これまでペアを組んで出場したことがないため、厳しい組み合わせが予想される。しかし、他国のペアにとっては世界ランキング4位の張本のペアは逆に怖い存在だろう。ともにガッツ溢れる戦いを見せて、下克上からのメダル獲得に期待したい。
中国からは樊振東/王楚欽、林詩棟/林高遠の2ペアが出場。強敵であることには間違いないが、前回大会ではK.カールソン/ファルク(スウェーデン)が樊振東/王楚欽、林高遠/梁靖崑と中国勢を2連破して優勝するなど、男子ダブルスは他種目よりも中国越えを狙える。
K.カールソン/ファルクの他、前回準優勝の張禹珍/林鐘勲(韓国)、チウ・ダン/ドゥダ(ドイツ)、林昀儒/荘智淵(チャイニーズタイペイ)、李尚洙/趙大成(韓国)、ルブラン兄弟ペア(フランス)などが上位候補。ペアでの国際大会出場はないが、オフチャロフ/フランチスカ(ドイツ)という強打者2人のペアも興味深い。
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