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全日本卓球2022

もう一度、全日本に魅せられて。ふたりで「95歳」の最年長ペアの奮闘

全日本卓球選手権の大会2日目、午前中の混合ダブルス2回戦に長崎県代表として出場した浦川信一/三好峰子(オール長大/若葉クラブ)。失礼とは存じながらもふたりの年齢を紹介すると、50歳の浦川と45歳の三好のペアで、合計年齢は「95歳」。今大会のダブルス3種目では最年長だ。

昨年の9月25〜26日、長崎・大村市体育文化センターで行われた長崎県卓球選手権兼全日本選手権予選。浦川はこれまで全日本選手権の男子ダブルスに何度も出場しているダブルスパートナーの先輩・山鹿泰史(オール長大)から、「久しぶりに全日本予選に出てみないか」と声をかけられた。

「全日本予選に出たのは10年ぶりですね。長崎は男子ダブルスと混合ダブルスの県予選が同時にあって、先に混合ダブルスがあるので、それなら両方出たいなと思って三好さんに声をかけたんです」(浦川)。ちなみに浦川は、三好とのペアでも2010年度の全日本で混合ダブルスに出場している。そして県予選の結果は、男子ダブルスはベスト8だったものの、混合ダブルスで見事に2位通過。「まさか、10年ぶりに全日本の舞台に立てるとは思っていなかったです」と浦川は言う。

一方、三好は浦川から久しぶりの県予選出場を打診され、「びっくりしたというのが正直な感想ですね」と語る。今大会の女子ダブルスにも出場した大田愛佳里とのペアで、一昨年も全日本の舞台に立った三好。これまでは子育てが忙しく、県予選では朝イチの混合ダブルス予選よりも、女子ダブルスの予選を優先して出場していた。しかし、前回の混合ダブルス出場から11年、「そろそろいいかな」と久しぶりに2種目にエントリー。そして見事、ダブルス2種目で全日本出場を果たしたのだ。

「長崎県は全日本予選の前日まで、私の住む地域が独自の(コロナ対策の)緊急事態宣言を出していて、あまり動くこともできず、練習できたのは1回くらい。ぶっつけ本番に近い状態で、ベスト8に入ればというくらいの気持ちだった。混合ダブルスは無欲の勝利でした」(三好)

長崎県予選を2位通過し、全日本出場を果たした浦川/三好ペア

そして今日、混合ダブルス2回戦で初戦突破をかけて出場した最年長ペアは、亀井/後藤(北陸大/龍谷大)にストレートで敗戦。「久しぶりにやってやるぞという気持ちが空回りして、1ゲーム目に足を痛めてしまったのが非常に悔しい」と試合を振り返った浦川。ふたりが前回出場した2010年大会では、伴誠也/平侑里香(埼玉工業大/Shochi Jr)をゲームオールジュースで破って初戦を勝利で飾ったが、今回は初戦突破はならなかった。

悔しい敗戦を喫しながらも、「卓球は長い時間をかけて戦える競技だと思う。これからもまだまだ、少しでも強くなりたいと思います」と飽くなき向上心を見せた浦川。一方、三好も「今回全日本に出て、やっぱり気持ちがいいですね。負けてもまたチャレンジしたいという気持ちが出てくる。また全日本出場を目指して頑張りたいと思います」とコメントした。

「今回は全日本前だから、週に2回、運が良い時は3日くらいダブルスの練習ができましたけど、試合がない時期は練習できるのは月に3回くらい。昼は仕事があるし、夜は子どもがいますから。それでも練習をしようかと、声をかけてくださる方がいれば飛んでいきます。卓球をすることは大好きなので、少しでも時間があれば練習したいし、生活の中でも常に卓球のことは考えていますね」(三好)

卓球に魅せられ、全日本という舞台に魅せられたふたりの戦いは終わった。来年の県予選に向けて、これからどこを強化していくか。きっと今から、そんなことを考えているに違いない。

●混合ダブルス2回戦
亀井康平/後藤亜弥(北陸大/龍谷大) 8、6、5 浦川信一/三好峰子(オール長大/若葉クラブ)

11年ぶりの全日本でのペアリング、初戦突破はならず

三好は大田愛佳里(右)とのペアでも2年ぶりに全日本出場を果たした

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