精悍な顔立ちからベテランの二文字は似合わないが、30歳になった松平健太(ファースト)は老獪なテクニックで17歳の吉山僚一(愛工大名電高)を翻弄。2018年大会以来、4年ぶりに準決勝に進んだ。
松平は「相手のテンポや攻撃対攻撃でやっても勝てない」と試合後にコメントしたように、この試合では真っ向勝負をさけ、現代卓球の主流になっている「スピードプレー」ではなく「スロープレー」を軸にして吉山のリズムを外した。
圧巻は吉山のサービスに対する「ゆるふわストップ」でのレシーブ。ラリー展開がどんどん速くなっている現代卓球では、ストップレシーブもバウンド直後の早い打球点をとらえる選手がほとんど。それに対して松平は、バウンド後半のボールが自分のコートに2バウンドするギリギリの打球点をとらえて、ネット前にふわりと落とす「ゆるふわストップ」を連発。想定外かつ普段の練習で対策していないこのストップレシーブに吉山は最後まで苦しんだ。
ラリー戦でもバックハンドで速いボールと遅いボールをうまく混ぜて吉山のミスを誘い、つないできた甘いボールには強烈な両ハンドドライブを浴びせた松平。経験と技術力を見せつけた会心のプレーだった。
ベンチには盟友の岸川聖也が入っている
●男子シングルス準々決勝
松平健太(ファースト) 5、−7、9、9、7 吉山僚一(愛工大名電高)
敗れたとはいえ、ここまでの吉山の快進撃は素晴らしかった
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