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全日本卓球2023

今大会最年長・三田村宗明、26回目の全日本は「何回出ても緊張するし、こういう舞台がおもしろい」

 本日行われた男子ダブルス2回戦に、今大会最年長出場者となる41歳・三田村宗明(リトルキングス)が登場。パートナーは息子の蛭田龍、ベンチには妻の麻里子さんが入り、家族で全日本を戦った。

 

●男子ダブルス2回戦
三田村宗明/蛭田龍(リトルキングス) -6、-9、8、12、-2 小松隼大/矢島陸斗(中央大)

 

 中央大ペアにいきなり2ゲームを先行された三田村/蛭田だったが、しぶといプレーで3ゲーム目を奪い返すと、4ゲーム目はマッチポイントをしのいで奪取。しかし、最終ゲームは序盤で一気に引き離され、勝利はならず。大会を棄権した2019年大会を除くと、2017年大会以来の初戦敗退となった。

 

 「年々、歳を取るから当然なんだけど、ああいう学生のボールを取り慣れていない。昔ほど動きも早くないから、自分では『行ける!』と思ったボールがもう来ていたり。本当は手堅く味を出していきたかったけど、良いプレーをしようという気持ちが強すぎた。でも、それが全日本なのかなとも思う。やっぱり若い子と試合をしていると、ぼくもそのリズムになってしまう。本当はぼくが飲み込んでいくくらいじゃないといけなかった」(三田村)

とはいえ、年齢を感じさせないプレーを見せた三田村

 

 今回、息子の龍とペアを組んで全日本に挑んだキッカケは、妻・麻里子さんからのリクエスト。龍が昨年の春に専修大を卒業し、実家に戻ったことで全日本での親子ペアが実現した。瀬戸際からの逆転で4ゲーム目を奪った後にはベンチで3人揃って笑顔を見せるなど「いつも支えてくれているので、少しは恩返しできたかな」(三田村)と感謝を口にした。

試合後に妻・麻里子さん、教え子であり、息子であり、パートナーの龍と

 

 日本のホープとして将来を嘱望された若手時代には全日本男子シングルスで6年連続ベスト8。表彰台まであとひとつに迫りながら、最後まで準々決勝の壁を越えられないまま第一線を退いた。その後、指導者となっても全日本に出場を続け、今大会が26回目の出場。かつては頂点を目指して苦い思いも重ねた全日本だが、子どもたちを教える指導者となり「自分が全日本で試合をする姿を見て、子どもたちに何かを感じてもらいたい」と戦い続けてきた。そんな中で全日本という大会に対する思いをユーモアを交えた三田村節でこう語る。

 

 「やっぱり、何回出ても緊張する。それは昔みたいに(優勝を)狙っていた時との緊張とは違うし、こういう舞台がおもしろいというのもある。初めてのサブアリーナでの試合で、少し盛り上がりに欠けた感じもあって、雰囲気に慣れて来た頃にはちょっと遅かった感じもあった。

 たぶん、出場選手の平均年齢よりぼくの出場回数のほうが上でしょ。26回も出ていると、もう名物みたいになってきている(笑)。だから負けてもね、こうやって注目してもらえるのなら、出たほうが良いのかなって。終盤は本当にトップの争いだけど、全日本の1週間の中で、みんなに『全日本の名物が来たね!』って感じに思ってもらえたら良いかな(笑)」

 「特段、全日本に対して『いつまで出る』っていう区切りは設けていない」という三田村だが、全日本のシングルスへの出場は現状、「一区切りついた」そうで、今大会は予選にもエントリーしていない。龍とのダブルスについても、来年もペアで全日本を目指すかは「家族会議で決める」そうだ。

 

 「来年も龍が『出ようよ』というのであれば、ぼくも出たいとは思っています。龍も負けた後に『やっぱり負けると悔しい~』って言っていたので、来年どうするかは家族会議ですね。

 あとは、教え子とミックス(ダブルス)に出たいと思っていて。(全日本に出場すれば)その子にとって良い経験になるだろうし、子どもたちにそういう経験をさせてあげることがぼくの役割かなと思っているので」

 

 コートサイドでカメラを構える身として、三田村は「期待を裏切らない男」である。勝利後にはカメラに向かってバッチリ目線をくれて、笑顔とガッツポーズ。本人は「しんどいよ」と言うのだが、今年の全日本では見られなかった「いくつになっても卓球少年そのまま」のあの笑顔を、来年こそ、いや来年以降も、いち三田村ファンとして、何度でも見せてほしいと思っている。(編集部・浅野)

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