日本の卓球競技のメダル第1号と期待されていた混合ダブルスで張本智和、早田ひなのペアが初戦で北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)のイ・ジョンシク/キム・クンヨンにまさかの1-4で敗れる波乱があった。
日本ペアは今年に入ってシード権を取るためにWTT8大会に参戦し、強行日程を乗り越え、大会前の最後のWTTで第2シードを獲得していた。つまり、強敵・中国とは決勝でしか対戦しない組み合わせ。日本のブロックには第3シードの韓国もいなかった。最高のドローと思いきや、唯一、警戒したかったのは初戦の北朝鮮ペア。
情報がほとんどない。特にコロナ後、国際大会にほとんど出ていない選手なので、用具さえも定かではない状態。女子のキム・クンヨンがバック面に変化系の表ソフトを使っていることがわかり、急遽練習会場では同じサウスポーの松島輝空がバック面のラバーを張り替え、相手をしたのだが、試合でやってみなければ相手の球質を測ることはできない。
卓球は対人競技。水泳や陸上競技のように記録を見つめるスポーツではなく、相手との心理戦であり、そこに用具という独特の要素が加わってくる。しかも、国際大会が頻繁に行われている昨今、オリンピックの舞台で初めて対戦するというケースはほとんどない。
今回の北朝鮮ペアのようにいきなりの対戦は相手も嫌なものだが、それ以上に格上の日本にとっては不利に働いたようだ。イ・ジョンシクのチキータ、カウンター。そしてキム・クンヨンのミスの少ない変化ボールに最後まで苦しんだ。
「正直悔しいですね。相手のプレーは素晴らしかったけど、大事なところで1本、2本ミスが多かった」(張本)
「1本取れるか取れないかが結果につながった」(早田)
オリンピックの舞台は予測できない。何が起きるかわからない。今になって東京五輪での水谷隼/伊藤美誠の強さと粘りには改めて感心するしかない。前大会では混合ダブルス金メダルで勢いに乗った日本。ここは逆に気を引き締め、気持ちを切り替えるしかない。
オリンピックという大舞台でのメダルは難しい。日本選手団は下を向くことなく、シングルス、団体に向かってほしい。
<写真 ITTF>
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